組織の後半戦について 成熟期③

今回も、後半のレールに乗ることについて、つづきを見ていきたい。

 

先まで、人生と同じように、組織も100年設計とすれば、目標設定や発達段階への対処が可能となり、100年設計するために組織の存在目的やマネジメントを今一度、すべての組織がやり直しを迫られていることを記載してきた。組織には、人生と同じで発達段階というものがある。エリク・エリクソンの発達段階モデルに沿って見てくととても良く当てはまるのであった。

 

○組織の発達段階

第1~3段:導入期①意志キャラクタに乗る(0~6年目)衝動型組織 ”自立”vs 罪悪感

第4段:導入期②表面キャラクタに乗る(7~12年目)順応型組織 ”勤勉性”vs 劣等感

第5段:導入期③本質キャラクタに乗る(13~19年目)達成型組織 ”自我確立”vs 自我拡散

第6段:成長期 グループに乗る(20~39年目)多元型(フラット)組織 ”親密性”vs 孤独

第7段:成熟期 レールに乗る(40~64年目)進化型(ティール)組織 ”世代性(伝承)”vs 停滞

第8段:安定期 老年レールに乗る(65~84年目)分散型(ブロックチェーン)組織 ”統合性”vs 絶望

第9段:衰退期 全てを超越する(85年目~)個人の集合体組織 ”老年的超越”vs 死

 

会社組織は、内部でゆらぎを増大し、自己触媒を醸し出し、動的で開放的な環境で、真の自己組織化という相転移(進化)を成し得るのであろう。だが、自己組織化でまだよくわからないことが2つある。それは、「ゆらぎ」である行為が、どのレベルまでなら「ゆらぎ」なのであろうか?例えば、誰かが「給与をあげろ!」と叫んだとする。これは”自己”か”非自己”かというと、メンバーにすれば”自己”であろう。皆、給与は上がった方が良いに決まってる。しかし、”自己”という行為として認められたとしても、それに対して、正のフィードバックをするか?というと、しないだろう。そう、もはや「ゆらぎ」の域を超えた行為なのである。では、どこまでが「ゆらぎ」という行為なのか?その臨界点はどこなのか?がわからない。もう一つの不明点は、先から記載しているように、どうやって細胞が集合し、集合体が”生命体”に変わるのであろうか?命はいつ吹き込まれるのであろうか?ここがわからない。

 

二つ目の不明点に関し、どうやって細胞が集合し、集合体が”生命体”に変わるのかを見ていきたい。

 

生体のゆらぎ

自然界の一部である人間の生体におけるリズムもまた、ゆらぎ を伴っていることがわかった。人体という複雑なシステムをコントロールするために、体内で情報伝達の役割を担っているのがニューロン神経細胞)と軸策による神経回路である。神経は蜘蛛の巣のような形の細胞で身体の隅々まで繋がっている。神経細胞は、様々な情報を電気的な信号として伝えることで、その機能を果たしており、神経細胞から神経回路を通って脳に達し、また同じように逆の経路で末端の細胞にまで伝わる。生体のニューロンから生体信号として発射する電気パルス(電気信号)の間隔を調べたら、1/f ゆらぎ をしていた。心臓の拍動もこの電気信号で起こっているため、心拍リズムの間隔は、きれいな 1/f ゆらぎ になっているのだ。


生体のリズムは神経細胞が発射する電気信号で決まり、生体リズムは全て 1/f ゆらぎ に従っているという発見であった。体温の変化、呼吸数、目の動き、脳波(α波)にも 1/f ゆらぎ があることが検証されている。実際に、手拍子でリズムを刻むと 1/f ゆらぎ は現れるが、メトロノームの音を聴きながら手拍子を打つと、間隔のゆらぎは現れずほとんど一定になる。メトロノームに合わせようとするために生体固有のゆらぎが消えてしまうようだ。手拍子を打っている人も、聞いている人もこのゆらぎには気がつかない。なぜかと言えば、生体そのものが 1/f ゆらぎ のリズムをもっていて、精度が同じであるためわからないからだ。

 

人間の生体機能の制御は、全て電気パルスで行われ、その基本的なゆらぎは 1/f ゆらぎ である。さらに、生体はこの 1/f ゆらぎ をうまく活用していて、ゆらぎがある方が機能をコントロールしやすいのではないかと考えられている。例えば、目の動きは常に焦点に合っているわけではなく、前後にふらふらと動いている。それは、見るものの位置が変わったときに、すぐに焦点を合わせやすいからだ。焦点だけでなく、目玉もちょこちょこ絶えず動いているのは、網膜の上の感度を調整することで像を捉えているからで、目玉の動きを止めると見えなくなる。同じ臭いが続くと慣れて感じなくなるように、感覚は変化がないと刺激として感じにくくなる。生理機能のいたるところに 1/f という微妙なズレが見られるのは、変化を感じて調整するための刺激としての意味があるのかもしれないと考えられている。

 

また、生体は、ゆらぎを巧みに活用して、小さなエネルギーで効率よく働き、自律性や柔軟性を発揮する

仕組みをもっていることがわかった。例えば、脳の柔軟な認知の過程やひらめきにも、ゆらぎが有効に働いていることが検証されている。スーパーコンピューターとチェスの世界チャンピオンがチェスの試合をして、最終的にはコンピューターが勝ち、このとき約5万Wの電力を消費したが、チャンピオンの脳は複雑なシステムにもかかわらず、エネルギーとして1Wしか使っていなかった。このように、生体はゆらぎにより、複雑なシステムを省エネでうまく制御しているようだ。このゆらぎを活用した仕組みは、ロボット技術やネットワークの制御など様々な分野に応用されている。

 

このように、健康な生体のリズムは基本的に 1/f ゆらぎをしているといっても良いであろう。研究では、生体のリズムが自然界のリズムと合致したときに人は快感を覚える、という仮説はほぼ間違いないとしている。よって、ゆらぎ のなかで、1/f ゆらぎ が私たちに心地よさや安らぎを与えてくれるのは、人間の生体リズムも1/f ゆらぎ になっているからだと言える。

 

 

組織における1/f  ゆらぎとは

組織で言うと、先に記載したとおり、まずはメンバーの構成としてのゆらぎが必要だ。同じような性質のメンバーを揃えていては、ゆらぎが発生しない。また、1/f ゆらぎを満たすようなちょうどよいばらけ具合にメンバーを揃えることができたとして、そこから各メンバーが実際に、上記のような1/f ゆらぎの行動をとり続けることが必要であるが、それができる環境にあるか、どうかがポイントになる。その環境とはどんな環境なのであろうか?

 

上図は振る舞いをコントロールする変数λを横軸に取り、縦軸に複雑さをとるとすると、コントロールが緩くなるほど、混沌が増していくのだが、ある地点を境にして、崩壊してしまうのか、それとも相転移して次のレベルに進化するのかの分かれ道が来る。その微妙な混沌具合が1/f ゆらぎというわけだ。組織を混乱に陥れるような行為なのか、ありきたりな行為なのか、その両方がちょうどよい具合に混じりあっているのか、というのが指標となる。波動レベル4の行動であれば、”規律を守る”というのがあるが、毎回同じように行動して、規律を守ってます!とやっててはマンネリ化してしまい、その行動を増幅しようと他のメンバーが追随してくれなくなる。それが、毎回同じように行動するのではなく、少しズレた、つまり1/f ゆらぎ分だけズレた行動の場合、”1秒でも遅れたらダメ!”というガチガチの人は少数だがいて、”5分までなら遅れても許容範囲!”という緩めの人が大多数いたら、それはちょうど1/f ゆらぎ分だけバラけているので、マンネリ化せずに、追随されてゆくのだ。良い意味で、ガチガチの人と、少し緩めの人がちょうど良い具合に混じり合っているのがカオス辺縁で留まるポイントとなる!

 

1/f ゆらぎのちょうどよい混沌具合を維持していけば、やがて進化して次のステージである波動レベル

の1つ上の段階へ組織は向かうことができるのだ。このようにして、波動レベル7の行動が組織内で、当たり前のように発動されれば、もうティール組織になったといえる。ただ、またそこからさらなる進化をするのか、もしくはそのままでいると、退化して、波動レベルはまた下がってしまうのだ。これを繰り返して、波動レベルを乱高下しながらも、なんとか、高い波動レベルを維持しようと、踏ん張ることこそが、ティール組織ということなのだ。

 

 

創発性とは  以下、こちらより抜粋

生命・生物系を対象とするとき、ミクロである下位レベルの作用により生じるマクロである上位レベルの動作との関係において、上位レベルの動作は下位 レベルの法則によっては説明できない。そして上位レベルは下位レベルに対し、境界条件を設定するものとし、これを周縁制御の原理と呼んだ。わかりやすい例でいえば、機械の構成要素については物理・化学法則により説明できるが、上位レベルの特性である機械としての作動原理は(人間の与える)合目的性により定まるものであり、下位レベルの法則からはでてこないということである。そして生命・生物系においてはこの上位レベルは”創発”によりうみだされるという。それが生命・生物系の特徴であるが、人工系なら、上位レベルの境界条件を与えるのは人間である。右脳、左脳の研究でノーベル賞をうけたR.Sperryも同時代に”創発”を論じている。彼の論点は脳における意識の役割にある。ここでも下位の存在としての神経細胞と上位の存在としての精神や意識について、これらを別々のものと考える二元論を否定し、双方向の因果的関係をもつとし、その関係を”創発”ととらえている。

 

これは、会社組織でも全く同じで、個人というミクロの世界と、会社組織としてのマクロの世界、この両方の立場で、我々は仕事をしているのだが、これをまったく別物の二つとして二元論的に考えるのではなく、その関係を”創発”と捉えて双方向の何がしかの因果関係を持つものとして、その因果関係を分析していこうとしているということだ!

 

「自律的に振る舞う個体(要素)間および環境との間の局所的な相互作用が大域的な秩序を発現し、他方、そのように生じた秩序が個体の振る舞いを拘束するという双方向の動的過程により、新しい機能、形質、行動などが獲得されること」 、この創発過程は、フィードバック系となっている。具体的に創発現象とみえる例として、アリの群れによるフェロモン場の形成、自由市場における価格形成、あるいは個人の集団による世論形成などがよくあげられる。

 

 

自己触媒性とは  以下、こちらより抜粋

ハーケンは、自己組織化現象の簡単な例として、レーザーを取り上げている。レーザー管の中でポン

ピングと呼ばれる操作によって励起状態に置カ亙れた原子は、もとの基底状態に戻る際に誘導放出

よって光を放出する。この場合、外からの光と同じ位相の光が放出される。ポンピングによって与えられるエネルギーが大きくなると、励起状態の原子の密度の高い不安定構造となり、誘導放出が連鎖的に起こり、原子の状態変化が協同的に進行する。その結果、レーザー管の両端に取り付けられたミラーの働きで、レーザー管の軸方向に位相の揃ったレーザ一光(マクロな秩序)が発生する。このとき、誘導放出の働きで、原子のミクロな運動が、マクロな秩序であるレーザー光に同調することになる。この誘導放出は、マクロな秩序に自己のミクロダイナミクスを同調させる性質による。すなわち原子の運動のもつ

自己触媒性に基づくものと解釈される。

 

位相の揃った光の波というマクロな秩序は、多数の原子の内部運動というミクロダイナミクスから構成されている。またその一方でミクロダイナミクスは、マクロな秩序に隷従している。つまり、マクロな秩序とミクロダイナミクスの聞にはフィードバックループが存在する(図 2.4参照)。ハーケンは、秩序形成に関して、このような隷従化現象が起きているときに、スレイビング原理 (slaving principle) が成立するといい、レーザーばかりでなく幅広い領域での自己組織化現象において成立するものと主張している。

 

 

組織における自己触媒性とは

上記のとおり、あらゆる自己組織化現象において、マクロな秩序とミクロダイナミクスの間にフィードバックループが存在すると仮定する。そうすると、どのようになるのだろうか?見てみたい。

 

会社組織には、部署があり、そして個人がいる。おおまかには3次元構造になっているのだが、マクロな秩序とは、会社の経営方針であろう。ミクロダイナミクスとは、個人の各行動であろう。個人の各行動には、環境、情報の取捨、感情、人間関係、スキル、判断力、などあらゆる要素、つまりはミクロダイナミクスが働いている。今までの経営理論であれば、経営方針を明確に定めて、その方針を下へ下へおろしていく。下は、その方針に奴隷のように従うのみである。この仕組みでは、ミクロダイナミクスを十分に生かしているとは言い難い。そうではなく、各個人を尊重し、各個人からのボトムアップ的な目標設定を統合して、経営の目標とすれば、今度はどこに向かうのか分からない会社となり、崩壊する危機にも向かうかもしれない。ボトムアップでもなく、トップダウンでもない理論がフィードバックループということになるのであろう。

 

クロダイナミクスの代表的なものが、”自己”と”非自己”の選択ということになるが、ある行動が”自己”と認められれば、正のフィードバックが増幅されるし、”非自己”となればゆり戻しにあい、その行動は消滅してしまう。各個人がこのON-Offを繰り返すことで、信号となり、組織にその信号が増幅された形で伝達されていく。その信号はさらに各組織間通しでもON-Offを繰り返して、さらに増幅されていき、会社組織の方向性となっていく。

 

 

人間の体が行っている仕組みと同様の仕組みを会社組織にも取り入れれば良いということは理解できるのだ。これは、各個人が意図した結果でもなく、経営側が意図した結果でもない、予期せぬ結果として様々なアプトプットが出力され続ける自己組織化現象と言われる。そう、ボトムアップでもなく、トップダウンでもない仕組みなのだ!この仕組みの根幹が、フィードバックループということになる。つまり、一つの増幅された信号に対し、

①まず組織として増幅するかどうかを判断する。

→ この時点で、組織として増幅すると判断されなければ、その行動は消滅する方向へ向かう。

 

②次に各組織間で増幅するかどうかを判断する。

→ この時点で、事業部や会社として増幅すると判断されなければ、その行動は組織に戻され、修正を求められるのか、消滅するかへ向かう。

 

③今度は会社にまで増幅された結果を各個人が判断する。

→ この時点で、会社にまで増幅された結果により、各個人はそれを受けて行動を続けるか、修正するか、止めるかを判断する。

このような①~③のループ構造になっているのだ!

 

このように一つの信号ごとに、フィードバックループを回していき、それを組織は増幅するのか?会社は増幅するのか?を判断していき、増幅していく。この増幅の過程で、新たなアイデアや方向性が加わることも珍しくない。これにより、予期せぬ方向へと増幅されることもあるが、そのゆらぎの幅は、1/f ゆらぎの幅であれば、会社組織として維持でき、そのゆらぎの幅が、カオスとなるほどであれば、会社組織として崩壊へと向かうということだ。

 

これが、フィードバックループの仕組みであり、いかに1/f ゆらぎの幅に抑えられるか、環境設定が極めて大切ということになるのであろう!どのような環境設定をすればこのようなフィードバックループが機能するのか?ここが問題だ。当方が考えているのは、すべてを1/f ゆらぎの幅に抑えていく環境設定ということ。つまり、社長にしろ、部署の管理職にしろ、すべての人が1/fというゆらぎに収まるように、緩すぎず、締め付け過ぎず、ちょうど1/f 特性を満たすような割合で管理していけば、その環境設定が可能となる!と考える。言葉でいうのは簡単だが、実際にその1/f特性を満たすように緩すぎず締め付け過ぎず

管理するのは、とても難しい。ただ、そうすれば、1/f ゆらぎにより相転移(進化)が生まれ、1つ上のステージ、さらに上のステージへと昇って行けるということだ!

 

なお、このフィードバックループこそが、生命体として機能する根幹の仕組みということだ。まるで生きているかのように組織が振る舞うためには、このフィードバックループを的確に運用することなのである!

 

 

いかがであろうか。組織がまるで生命体であるかのように振る舞うための仕組みが明らかになりつつある。上記のようなことを実践していくとティール組織が出来上がっていくというイメージが湧くであろう。もうすこし詳細を、次回も記載したい。