人生の後半戦について まとめ

今回は、組織の中盤戦から、いよいよ後半のレールに乗ることについて見ていきたい。

 

先まで、人生と同じように、組織も100年設計とすれば、目標設定や発達段階への対処が可能となり、100年設計するために組織の存在目的やマネジメントを今一度、すべての組織がやり直しを迫られていることを記載してきた。組織には、人生と同じで発達段階というものがある。エリク・エリクソンの発達段階モデルに沿って見てくととても良く当てはまるのであった。

 

○組織の発達段階

第1~3段:導入期①意志キャラクタに乗る(0~6年目)衝動型組織 ”自立”vs 罪悪感

第4段:導入期②表面キャラクタに乗る(7~12年目)順応型組織 ”勤勉性”vs 劣等感

第5段:導入期③本質キャラクタに乗る(13~19年目)達成型組織 ”自我確立”vs 自我拡散

第6段:成長期 グループに乗る(20~39年目)多元型組織 ”親密性”vs 孤独

第7段:成熟期 レールに乗る(40~64年目)進化型(ティール)組織 ”世代性(伝承)”vs 停滞

第8段:安定期 老年レールに乗る(65~84年目)分散型(ブロックチェーン)組織 ”統合性”vs 絶望

第9段:衰退期 全てを超越する(85年目~)個人の集合体組織 ”老年的超越”vs 死

 

組織の後半戦はというと、成熟期(40~64年目)だ。ここにしっかりと乗っていけるかどうかを見ていきたい。そのためにも、まずは、人生の中年期(40~64才)を見ることで、参考にしたいのだった。特に容易なケースである相生の関係に注目してみきたが、スムーズに乗り切れるパターンと、乗り切れずにもがき苦しむパターンを見てきた。これらの違いがほんのわずかなところにあり、それをやるのかやらないのかによって、大きく人生が変わっていくということを見てきた。

 

◆中年期(世代性 vs 停滞性)・・・ 導かれるものは「世話」
中年期とは、おおむね “結婚 ~ 子育て期” までの期間を示す。
◎この時期に克服が必要とされている“課題”は ・・・ 「世代性 vs 停滞性」
◎この時期に必要とされる “重要な出会い” は ・・・ 「仕事・家庭・子供や後輩達」

この時期に重要となるのは、上記のように、 “仕事・家庭・子供や後輩達との出会い” になる。「世代性」とは、 “次の世代” を育むという事に積極的に関与したり、関心を高めるというような意味があり、子供がいる家庭においては、自分の子供を育てると言う経験が当てはまる。職場などの場合では、後輩達の教育や伝承などが当てはまる。「家庭」の中での子育てはもとより、「職場」などを通じて、 “自分自身がこれまでに経てきたものや深めてきた事” を 「次の世代」 に託すといった意味が含まれていて、自分の経てきた事を身近な存在に伝承(指導したり・関心を占めす)することによって、親密な存在を自分たち自身でつくり出していきたいという心の育みの時期でもある。その過程の中では、自分を犠牲にしながら成長を援助してゆく場面も見られる。そうしながら育まれてゆくのは 「世話する心」 。

そして、子育ての完了を経て、生活スタイルはいよいよ 「家庭志向」 から、 「自分志向」 へ変化し始める時期でもある。「中年期」 には、今まで未解決だった 「課題」 が再現されやすくなっていく時期でもあり、そういったものと向き合うことで心が育まれ、次の段階への以降をスムーズに迎えられる。

☆解決が導くもの ・・・ 「世話」
→解決とは、その時期の葛藤を自分自身の心に統合化されていく事によって育まれていくもの
☆中核的な病理  ・・・  「拒否性」
☆心理、性的な段階と様式 ・・・ 子孫を生み出す/自分思考(自分にお金をかける)

 

 

◆中年の頃に停滞性というトラウマを避けるための解決方法:

新しいものは受け入れず、次世代の新しい風と交わろうともしない状態ではさらなる自身の成長は望めない。自分本位ではなく子どものため、部下のため、次世代の若者たちのために行動することを心がけ、惜しみなく知識を与えることがこの段階の獲得目標である「世話」につながる。

 

 

レールにしっかり乗っている状態になるには、その前段であるグループにしっかり乗れていることが必要。グループに乗れて初めてレールに乗れる。原因は、レールの乗り方を知らないから!知れば乗れる!

 

・レールを知る

この時期に 「世代性」 を持つには、自分自身が確立されていなければならない為、“自分を磨いたり、能力を高める為の努力”や“深み” を持っていないと、それを「次の世代」に託せなくなり、場合によっては、社会的にも 「停滞」 してしまう傾向がある。また、次の世代を育成することに関心を持てないでいたり、個人的にも満足感・充実感は得られにくく、それ以前に託そうとする意識も育まれにくくなる。それらは「職業的な意識」「社会的な意識」「家庭的な意識」、もっとも「個人的な意識」もそうかもしれない。そして、この時期には、 「中年の危機」 といわれるような問題が顕在化し始めていく。

 

「中年の危機」について、大きく2つの視点から考えてゆくと、
1.『いろいろな事に限界を感じ始める時期』
「体力の限界」「能力や可能性に対する限界」「若い頃描いていた理想像への限界」 等々、いろんな意味での限界を感じ始める時期となる。その為に、自分の人生を問い直したり、アイデンティティー(自己の同一化)を再確立しようとしたりする傾向も出始め、その過程で悩み、鬱などの症状を発症する事もこの時期の特徴だと言える。

2.『自分の内なる異性との折り合いをつける時期』
私たちの多くは、性別に基づいた男性性や女性性を発揮しながら生きているものだが、心の底の無意識の領域には、生物学的な性別とは正反対の側面(男性の女らしさ、女性の男らしさ)も併せ持っており、総合的な人間性のバランスをとっているとされている。 自分が思い描いていたように生きられなかった背景として、自分の心の中の異性としての感情と結びつきやすい反面があるようだ。自分が “置き去りにしてきた部分の生き方” に関心が行き始め、そういった意味では自分の内面的な心の感情と統合していかなければならない部分が出始めていく。男性が「男らしさ」にこだわった生き方を続けていると、反動で無意識に潜む女性性に振り回されることがあるのだ。この異性の暴走によって引き起こされる問題の一つが、魅力的な異性に心奪われてしまう「ミドルエイジの恋の罠」である。

 

「中年の危機」の症状の一つとして、アルコール依存症がある。アルコール依存症とは、

・孤独感

飲酒問題を何とかしたいと必死になっても、どうすることもできないで苦しんでいるのが、アルコール依存症の人である。ほどよく飲むことも止め続けることも、難しくなるからである。しかし、このことは家族には理解してもらえない。周囲の人は、仕事や家庭のことをまじめに考えているなら飲み過ぎることはないはずだとか、本当にやめる気があればやめられるはずだで片付けてしまう。アルコール依存症を病気だと思っていないのである。まじめになるだけで飲酒問題が消えるのであれば、医者も薬もいらないことになる。断酒会などに行けば、このような孤独感は一掃される。同じ経験をした人達ばかりなので、すぐにわかってもらえるのである。


・自分が情けなくなる

アルコール依存症が進行すると、飲むこと以外のことが何もできなくなる。何をやっても飲酒のためにうまくいかなくなり、自分だけが、ほかの人と違ってみじめな人生を歩んでいるように感じる。特にアルコールが切れてきたときには、何とも言えない情けない気分になりやすい。飲酒すると、一時的ではあるが、こういう気持ちは一掃される。飲み過ぎさえしなければ、もっといい人生を送れたはずだと思う反面、このなんとも情けない気持ちを、解決してくれるのは酒だけであり、俺から酒をとったら何が残るだろうかと考えてしまう。そして、酒を手放すことがひどく恐ろしいことのように感じるのである。しかし、飲酒によって一時の解決を図っても、そのアルコールが切れてくると、また同じ状態になるという悪循環を繰り返すことになる。この悪循環を断ち切らなければ、アルコール依存症を治すことはできない。


・他人の攻撃をする

酒のためにどうにもならなくなっている自分のことは棚に上げて、他人の欠点に目をつけて、それを攻撃しようとする。身近にいて、自分より弱い人を攻撃の対象にしやすい。たとえば妻に対して、掃除の仕方がなっていない、料理がまずい、顔が気に入らない、いるだけで腹が立つなどという。まわりが気に入らなくて、いらいらしているときは、本当は思い通りにいかない自分に腹を立てているのだということに気づいた方がよい。

 

このような「中年期の危機」に陥らないよう、「停滞性」の課題を解消するためには、次の3つの能力が求められる。

1.選択し、決定する能力

2.将来設計をたてる能力

3.自分以外の人が持つ欲求を理解する能力

エリクソンによれば、人間40歳の坂を越せば、もはや仕事や家庭を極めるだけでは幸せになれず、自分の子供たちを含め、若い世代の成長をサポートすることで得られる充実感も心の健康を保つうえで必要になってくる。それには上記の3つの能力は欠かせず、1つ1つを磨いていく必要があるという。

 

また、多くの人は20代、30代といった若い頃には、「男or女としての自信」を確立するために、競争社会の中で生存できる力や闘争的な力を鍛え上げることに注力するものである。ところが自分の内面に目を向ける中年期に入ると、それだけでは人生の後半生を渡っていけないことに心の深い部分でうっすらと感じるようになる。そこで、無意識の中に潜んでいるもう一つの自分らしさである「異性」に直面し、異性の心の機能に関心を持つようになる。

 

例えば、女性ならば、家庭生活においては、女性らしい優しさや感性こそ、夫婦関係や子育てには必要なものである。それなのに、男性的なルールや理屈で家族を縛りつけたり、合理性を追求していくことで、家庭から安らぎが消えてしまうことも少なくない。頑張れば頑張るほど煙たがられ、敬遠される。とはいえ、そうした「いばらの道」を歩みながらも、男性性に目覚めた女性は、中途半端にその道を降りることができず、突き進むしかない。男性性は、甘えや妥協を許してはくれないからである。しかし、男性性の段階を昇り切り、強さと知性を身につけた女性には、真の充実感と満足が待っている。苦境の末に人生を洞察する力を得れば、“女は女らしく”、“男に負けない”といった偏狭な価値観に留まらず、女性的な面も男性的な面も統合した深い人間性を築くことができるからである。こうして、男性性と女性性を統合させ、深い人間性を完成させていくこと、このプロセスが中年期に行うべき課題の一つなのだと、ユング心理学では伝えられている。

 

 

一方、人生の方向性がグループからレールへと変わる時期でもある。レールは宿命とも呼ばれ、その先は“生涯目標”へとつながってると解釈する。生涯目標が使命で、レールはその道で宿命と呼ぶ。それゆえ、しっかりとレールにのり、生涯目標に向かっていければ人生が充実してくる。その際、グループ⇒レールへのジャンプというハードル(相生、相剋、比和により異なる)はある!

 

 

先までグループ⇒レールに乗るという事例を多数見てきた。例えば、レールが火(陽)である場合を見てみよう。松阪慶子さんの場合だ。

レールが火(陽)の松坂慶子さんの場合、個性:”病”、グループ:火(陰)、レール:火(陽)という3Dであるが、日本人という戸籍に拘り、あそこまで大女優になったにも関わらず、人生を楽しめなかった。大女優になったのも、体を張って、気を張って、必死でもがき苦しんで掴み取ったという感じ。決して楽しくて、個性を創り上げて、喜びの元で女優になったわけではなかった。ここが火(陽)に乗れない最大のポイント。しかし男性性と女性性の統合は上手くいってる様子!

 

1993年に出版された両親の著書『娘・松坂慶子への「遺言」』で公表された事実だが、母には実は戸籍が無く、韓国人の戸籍を借り、母は本当は日本人なのに韓国人ということになっていた。父も日本名を名乗っていたが国籍は韓国のまま、つまり慶子も韓国籍であった。知人の力を借りて法務省と交渉した結果、1964年に母の戸籍が回復し、母の戸籍に入れたことにより日本国籍となった。このようなエピソードがあるほど、戸籍に拘り、ずっと引け目を感じて生きていた様子。

 

以後、どのような気持ちになったかというと、

・必死で有名になって認められたい!→ 人に認めてもらえていないというトラウマが大きくあり、のんびり自然体などとんでもない!死にもの狂いで芸能界で生き延びてきた。

・両親との確執! → 夫はギタリストで高内春彦さん。両親は結婚に猛反対したが、慶子さんは押し切って結婚。今では二人の娘さん(26歳、24歳)がいるが何度も離婚危機を乗り越えて今に至る。母は要介護3の状態で、慶子さんは日々介護と女優業を必死で両立させている。  

 

これは火(陽)に乗れなくなったパターン。これを解消するために、仕事をセーブして母の面倒を見たり、娘の面倒を見たりする。母は要介護3で面倒を見なければならない。娘二人はハワイに在住しており、慶子も近年までハワイに在住しており、今は日本に戻っている。ハワイでフラダンスをするのが楽しい!とフラダンスのDVDを発売するほど!将来は、ハワイでゆっくり定住してBBQでしながら楽しく過ごすことが夢だそう。まさしく火(陽)らしい!

 

松坂慶子アイスランド紀行~オーロラを求めて絶景の大地へ~が2017年3月にNHKで放送された。女優・松坂慶子が絶景の大地・アイスランドを巡る旅!祈願のオーロラに出逢えるか!?というような企画であったが、なんとも楽しそうである。このような仕事を優先していけば、徐々に火(陽)に乗れてくるのかもしれない。

 

 

いかがであろうか。このように、第6段:成人期⇒ 第7段:中年期への移行は、極めて深度が高く、難易度が極めて高い段階なのだ。男性性・女性性の統合に加えて、限界を突破するという気概も必要となる。それらが出来て初めて、”世代性(伝承)”が獲得出来るのであり、限界を少しでも感じてしまったらもう世代性(伝承)の獲得が困難になってしまうのだ。それほどまでに、この第7段への移行というのは難しい段階なのだ。

 

これを組織について当てはめても、実は同じ事が言える。第6段:多元型(フラット型)の組織から、第7段:進化型(ティール)の組織への移行は、極めて難易度が高い。何せ、自分以外の人が持つ欲求を満たしていき、男性性も女性性も統合し、さらに限界をも突破していかねばならないのだから。ティール組織は、自己満足的な組織では成立し得ない。自社以外の様々な利害関係者をも巻き込んで、それらの関係者をことごとく満足させていくことが求められる。それには技術の伝承やノウハウの伝承をも進んで行っていかねばならない。さらには方向性も男性的でもあり女性的でもある、両面を統合したような方向性へと向かう必要があり、さらには今の現状を突破するような気概も必要となる。これらが全て揃って初めて、ティール組織は実現するということだ。

 

このことについて、次回以降、詳しく見ていきたい。