フラット型組織とティール組織の違い

先まで、組織の中盤戦について見てきた。人生と同じように、組織も100年設計とすれば、目標設定や発達段階への対処が可能となるのだった。今までは、組織を100年設計しようという発想すらなかった。生命体として捉えようという発想すらなかった。だから、いかにお金を稼ぎ、効率を重視し、力技にて組織をマネジメントするという方法が採られた。しかし、令和の時代は、人生も100年設計するために人生の目標設定を今一度、皆がやり直しを迫られているのと同様、組織もまた、100年設計するために組織の存在目的やマネジメントを今一度、すべての組織がやり直しを迫られているのだ。

 

先まで成長期の組織形態である第6段:多元型(フラット型)組織について見てきた。

 

 

よく議論になるのが、成熟期の組織形態である第7段:進化型(ティール)組織と何が違うのか?ということであろう。成長期にパートナーを見つけ、吸収合併などにより規模を大きくしつつ、組織をフラットに改変していき、さらに子会社を排出し、子会社共々に成長していくのであったが、成熟期になると、子会社もだいぶ手離れし、あとは自社が地域のニーズ、社会のニーズに貢献できるよう、組織をティール組織へと変化させていくのだ。

 

その際、フラット型組織は、組織をフラットにすることを優先し、いかに平等に、差別無く、個人が発言できるような組織を目指すのであった。経営層も1つのチームとなり、他の各チームと同様、フラットにオープンに情報を開示していくことを優先するのである。

 

一方、ティール組織はそこからさらに進化し、まるで組織が生き物であるかのように躍動していくことを目指すのだ。そう、生命体と捉えるのだ。ここが大きな違いだ。フラットにしてオープンにというよりも、もっと密に各チームが連携し、ルールもより増えていく。ルールが増えたからと言ってピラミッド型の指揮命令に逆戻りするわけではなく、マスタールールに沿って、各チームが独自の役割にそのルールを適用していくことが求められる。まさに人間の免疫のような機能であり、免疫をつかさどるT細胞のような働きのようである。

こうして、免疫系を通過した成分は、自己成分と見なされ自組織に取り入れられる。その成分はあらゆるものであり、言葉であったり、行動であったり、ルールであったりする。例えば言葉であれば下記のような成分となる。

・やってやるわ! ○

・やらせていただきます。 ○

・やらせてもらうわ! ○

・やります。 ○

・やればいいんでしょ。 ×

・やれなくはないです。 ×

・やろうと思います。 ×

・やらないといけないのですね。 ×

・やるしかないのですね。 ×

・やればいい! ×

この各成分から自己と非自己を見分けるのだ。○が自己であり取り入れられ、×が非自己として排除されていく。こうしてある種の型が出来ていく。その型とは鍵穴のような型であり、その鍵穴が免疫系全体に共有されていき、抗体が出来上がる。

微生物Aが再度侵入してきても、その抗体の結合を受けて無害化されてしまう。しかし、その抗体は微生物Bには無効である。抗体とは文字通り、あるものに「対抗する物質」という意味で、身体の中に侵入した異物に結合する性質をもった蛋白質のことだ。これに対し、細菌やカビなど、その抗体をつくらせるきっかけとなる異物を「抗原」と呼んでいる。抗原と抗体は鍵と鍵穴にもたとえられる。鍵と鍵穴はピッタリ合わなければ機能を果たさない。したがって抗体は、いつも、ある抗原にピッタリ合うようにつくられるのだ。このピッタリ合うことを「特異性」と呼んでいる。抗原は1,000万種類以上とも1億種類以上ともいわれていますので、抗体も同じ数だけあると考えてよい。

 

組織でいうと、抗原(鍵穴)とは入って来る情報のことであり、それに対する抗体(判断の鍵)は1億種類以上あるということになる。先の例だと、

・やってやる!

・やります!

などが自己であり、それ以外は非自己として判断したのが抗体の働きという訳だ。このような抗体(判断の鍵)が1億種類以上あるということなので、とても意識上でデータベースを作成してチェックしていくということは難しいのだ。であるから、社長が行動指針や行動規範などを文章にして各従業員に伝えようと試みても、それは不可能であることがわかるであろう。DNAと呼ばれるものがこのような行動指針や行動規範であったとすると、DNAはルールに過ぎない。そのルールから各細胞が情報を読み取って、独自に判断をするのであるが、その判断基準が抗体という訳だ。

 

このように、自己と非自己を見分けることは意識上では難しいのだ。意識上では1億種類もの判断の鍵を用意するなど不可能である。では、どうやっているかというと、”無意識上”にて判断しているのである。在意識という過去情報を統括している意識の部分である!それゆえ、1度組織の中に入ってきた抗原は

2度目にはもう免疫系システムの抗体に捉えられて、それが腸の役割の担当者を中心とし、脊髄、両手、両足、口の役割の担当者などの免疫系関係者のメンバーの無意識上に記憶されていくのである!これを日々、繰り返していき、各メンバーの無意識上には膨大な数の抗体(判断の鍵)が出来上がっていくのである。これが”組織文化”なるものの正体であった!

 

これら抗体や免疫系システムなどは、人間の身体の仕組みであり、このような仕組みを真似て組織も同様に生命体として捉えれば良いのでは?と考えたのが、当方が提唱する生命体論である。

 

 

先に、第6段のフラット型組織のところで、3M HISの事例をご紹介した。3M HISでは、バリューストリームごとに「スクラム・オブ・スクラム・オブ・スクラム」が設置され、エクゼクティブメタスクラム(EMS)が会社の戦略的ビジョンやサービスやプロジェクトの優先順位を決めている。スクラム組織においては、広報、法務、人事の領域の仕事にも柔軟性や創造性が求められる。3M HISの場合、広報、法務、人事といったサポート業務のチームもスクラムチームになっている。サポートチームのプロダクトオーナーが他のチームから受けた依頼がバックログになり、他のプロダクトチームと同様、スプリントの単位で社内顧客に向けた価値を生み出している。

 

この「スクラム・オブ・スクラム・オブ・スクラム」というのは、入れ子構造なのであり、まさに第7段のティール組織でも、この入れ子構造が主の考え方になっていく。当方は、その入れ子構造のことを次元と呼び、各次元ごとに生命体が躍動するというモデルを提唱している。

・1次元:人間という生命体

 

・2次元:部署・チームという生命体

 

・3次元:会社という生命体

 

それぞれの生命体は、同様に抗体や免疫系を有しており、各次元で生きており、しっかりと各担当社が独自の判断を日々行っていくのである。決して、社長の命令で、指示通りに動くのとは訳が違うということがこれで少しは理解できるであろう。各自が独自の抗体により、独自の判断を下しながら、日々入ってくる言葉や行動や書面などを自己か非自己かに分類していくのである。こうして組織文化が形成されていくのである。

 

 

いかがであろうか。これがフラット型組織とティール組織の大きな違いであり、ティール組織というのは生き物なのであり、組織をまるで人間と見なすということである。そうすると、各部位の役割というもの、どのような機能であるべきか、免疫系や神経系や内分泌系はどのように連携をとっていけば良いのか、各細胞はどのように生死を繰り返しながら組織を形成していくのか、などが理解できるのであろうから。