組織の前半戦について ”絶”⇒”胎”

今回も、組織の前半戦について見ていきたい。人生と同じように、組織も100年設計とすれば、目標設定や発達段階への対処が可能となるのだ。今までは、組織を100年設計しようという発想すらなかった。生命体として捉えようという発想すらなかった。だから、いかにお金を稼ぎ、効率を重視し、力技にて組織をマネジメントするという方法が採られた。しかし、令和の時代は、人生も100年設計するために人生の目標設定を今一度、皆がやり直しを迫られているのと同様、組織もまた、100年設計するために組織の存在目的やマネジメントを今一度、すべての組織がやり直しを迫られているのだ。

 

組織は0~19年目までは社長のキャラクタが強く組織に影響するのであるから、社長のキャラクタを全面的に出していけば良いということになる。今回は、具体例として、下記の会社について見ていきたい。

 

・freee株式会社 社長:佐々木 大輔 氏  以下こちらより抜粋

2013年にGoogle出身の佐々木氏らがクラウド会計ソフト「freee」をリリースする。同様にクラウド上で会社設立に必要な書類を出力し法人登記や設立後に必要な手続きを行う「会社設立 freee」を2015年に、2017年に勤怠や労務手続き、給与計算を行う「人事労務 freee」などをリリースする。個人事業主などのスモールビジネスをターゲットとしており、2018年3月時点で「freee」の利用経験がある事業所は日本で約100万となっている。クラウド会計・人事労務ソフトの法人シェアにおいては1位となっている。

 

2015年及び2016年、2017年のフォーブス日本の起業家ランキングトップ10入賞。2020年国立大学法人一橋大学経営協議会委員。新経済連盟幹事等も務める。日本を代表するビリオネアの一人となった佐々木氏である。では、組織の前半戦である創業~現在に至るまでを見てみよう。2021年現在で、創業9年が経過した。その経緯を見てみよう。まずは、下図が佐々木氏の生涯エネルギー遷移図だ。

○佐々木 大輔 氏 1980年9月18日生

・個性:”死”

・本質グループ:木(陽)

・生涯レール:金(陰)

・老年レール:水(陽)

 

佐々木 大輔 氏の生涯リズムを見る限り、

発達課題第1段→ クリア

発達課題第2段→ クリア

発達課題第3段→ △クリア?

発達課題第4段→ クリア

発達課題第5段→ ×

発達課題第6段→ クリア

発達課題第7段→ クリア

発達課題第8段→ ×

というのが見える。

 

このような場合のカルマは第5段になる。”自我確立”という第5段のカルマが重くのしかかる。生涯かけて、この”自我確立”と向き合っていくのであろう。その前に、”自立”という第3段のカルマもやや重くのしかかるのだろう。それゆえ、Googleや大手資本に頼らず、自分で立ち上がり、自我を確立していくという課題となる。軌道に乗ってきたとしても、最終的には、いったい自分の会社は何処に向かい、どんな存在なんだろう?という自問自答を繰り返すことになるかもしれない。

 

まずは、人生の前半戦である未成年の時期を見てみよう。下図のように、児童期(7~12才)の頃に、”胎”というキャラクタに乗っていく時期なのだが、幼児期(1~6才)の頃の”絶”というキャラクタから、”胎”というキャラクタは、友人の関係ゆえに、容易に乗れる。そして、青年期(13~19才)のキャラクタは”死”だが、”胎”というキャラクタから”死”というキャラクタは、緊張と試練の関係ゆえに、やや乗るのに苦労したかもしれない。もしかしたら、まだ十分に乗り切れず、大人になっているのかもしれない。

 

この”死”という自我を確立できれば、人生の前半戦はクリアできるのであろうが、ここが佐々木氏の場合、多少困難な様子。何せ、児童期は”胎”というキャラクタであり、徹底して人と違うことをすることに喜びを感じる、典型的な「変人」タイプだ。穏やかに見えるが、人の好き嫌いも激しく、人といるよりも独りでいるほうが気楽という性格だ。一方、青年期の”死”は、努力家であり、根性論が大好きだ。責任感も強く、プロという名にふさわしいプロフェッショナルな人だ。ただ、メンタルはさほど強くは無いので、リスクはさけるような行動をとる。根回しのプロであり、社交辞令もとても上手く、人との付き合いは上々だ。それゆえ、やや”胎”とは異なる性格になるため、多少の乗りにくさはあるだろう。

 

プロ意識が強く、妥協は絶対に認めない。与えられた仕事は徹夜をしてでもやり遂げる強い使命感と責任感を持っている。ただ、他人にも同等の厳しさと勤勉さを求めるため、仲間から文句が出ることも。怠けることが生理的に嫌いな努力至上主義の人なので、仕事場ではもちろん、趣味や遊びのシーンでも手抜きなし。少々のことでは引かない度胸のよさがあり、失敗しても、すぐに気持ちを切り替えて頑張るガッツがある。

 

元来、気の小さいところがあり、世間や周囲の評判にも敏感なため、常に自分を追いつめて、慎重に熱心にことにあたる。身内意識が強いので、身内と認めた人間のミスに関しては、しっかりカバーするが、敵対する人間にはたとえ同僚であろうと、徹底的に叩きのめす非情さも併せ持つ。やや強引にものごとを進めるところがあるが、きちんと責任もとるので、人は信頼してついていく。

 

「瞬間」を生きる”死”にとって「待たされる」ことは何よりの苦痛。約束の時間に遅れることはもちろんだが、「結論が出るまで待ってほしい」「とりあえず待ちの状況です」にもイライラ。「どちらでもいいです」「微妙」などの白黒はっきりしない言葉も苦手。人の話は聞かないくせに、相手が自分の話を聞いていないと怒るのが”死”。「自分勝手」「人の話をちゃんと聞かない人だね」などは、図星なだけにタブーである。長い前置きやくどい話も嫌うので、ポイントはひと言で簡潔に。

 

佐々木氏も上記のような個性を貫くことが出来れば、”死”というキャラクタに乗れるのであろうが、何処か妥協してしまったり、敵を徹底的に叩き潰すような非情になれなかったりして、”死”というキャラクタに乗り切れない部分があるのかもしれない。

 

 

・”絶”⇒”胎”への転換

2012年に創業し、最初の6年間は、”絶”というキャラクタで経営していくと良い時期なのだが、「会社設立 freee」を2015年に、2017年に勤怠や労務手続き、給与計算を行う「人事労務 freee」などをリリースするなど順調に創造性を発揮した経営を展開していく。以下、こちらより抜粋

 

ちょうど2018年というのが組織形態を転換するのにちょうど良い時期であり、衝動型から順応型へと組織形態を変えていくと良かったのだが、freee株式会社はそうならなかった。組織形態はかなりフラットで緩い繋がりの組織となっている。

組織はフラットだが、カオスである。常に組織の変動が起こるので、社員は大きな組織変動があっても、またか……というような反応で、諦めとワクワクが半分というような表情をしているのをよく目にするという。機能と事業でメッシュのようになっており、全体としては、エンジニア、セールス、サポートが3大チームになっている。

 

第4段:順応型組織になると良いのだが、すっとばして、第6段:多元型組織(フラット組織)になっており、組織の発達段階を順調に経ているとは言いがたい状況だ。いきなりフラット組織にしても、結局はカオスになってしまい、うまく纏まることが難しいのだが、freeeはフラット組織を貫いていく。これは、経営陣がGoogle出身者が多いからであろうか?いきなりGoogleのような発達段階の高い大企業を真似ても、スタートアップは上手くいくわけではないので、得策では無い。それでも、何とか緩いながらも皆が繋がりを保ち、マネジメントしている状況ではある。以下、こちらより抜粋

 

2016年当時も、会社はもちろんのこと、「個人としてはどんなミッションをもっているのか」、そして「それをfreeeで実現するにはどうしたらいいのか」と確認し、共有する機会をたびたび設けていた。具体的には、会社全体では四半期に一度、チーム内では月に一度、毎週月曜の朝会で共有し、あとは週に一度、マネジャーとメンバーで一対一で行う「1on1」でも共有した。

 

「1on1」で聞くことは、まずはじめに「体調はどう?」と聞くこと。特に開発チームのメンバーはどうしても没頭すると寝食を忘れてしまいがちなので、少しセーブをかけてあげるくらいがちょうどいい。心がけていたのは、彼らが本当にやりたいと思っていることを引き出す手助けをしてあげること。これから進むべき道を迷っているメンバーがいれば、過去にさかのぼって「あのときモチベーションになったのはどんなこと?」と投げかけたり、新卒でまだ右も左もわからないメンバーなら、「会社のミッションのうち、どれにいちばん共感する?」と聞いてみたりした。

 

本当にコミュニケーションは活発に行われていた。そもそも垣根もないし、呼びかけたら何かしら人が集まってくる。日常的な飲み会もあるし、「スイーツ部」「1981年の会」などSlack(社内ツール)のチャネルもたくさんあって、マネジャーとか役職関係なしに個人でもよくやり取りしていた。そういう雰囲気は業務内でもあって、一人のエンジニアが何かを作るときは、カスタマーサポートもセールスも巻き込むし、プロダクトの完成説明会では、開発チームが「そこに込めた思い」も共有することで、それぞれの部署の成すべきことに落とし込まれていった。

 

関口聡介(aniki) 氏がfreeeに入社してUXチームに配属されてからは、UXを定着させるためにありとあらゆることをした。UXのデザインを手がけながらガイドラインを作成したり、勉強会を開催したり、とにかく「全員で考えるべきUX」という軸で啓蒙活動を続けた。数年経ってUXチームも10人を超えたので、関口氏は2017年の10月に思い切って社内に提案し、UXという外向けの製品開発からICX(Internal Communication & eXperience)という社内に向き合う組織開発に職種を変えた。このICXを始めたのは、ユーザーの体験をよりよくするUXの役割を社員の体験の向上の役に立てられるのではないか、そうすることで社内のコミュニケーションにも革命が起こせるのではないかと考えたからだという。

 

例えばWeekly All Handsという全社の各チームから情報共有を行うイベントが毎週ある。以前はスクリーンにスライドが映らない、マイクの調子が悪いなど、会場のセッティングにかなり問題があった。全社員が集まっているイベントなので、5分開始が遅れただけでも、ものすごい損失だ。そうしたイベントの改善ボランティアが発端になって、ICXの元となる活動が生まれていく。みんなの課題感からボトムアップで組織ができていくのが、freeeらしい。それ以外にも、毎月ICXでカジュアルな座談会をしている。社内コミュニケーションについて、他チームとお菓子をつまみながら課題の共有について話し合いをしている。常に話しやすい状況を作っていくのは、組織内コミュニケーションを闊達にするうえでひとつのカギであるという。

 

 

本当は、順応型へと組織を改革していく際に、ビジョン・ミッション・バリューを再定義していくと良いのだが、社長である佐々木氏のキャラクタも”絶”から”胎”へと変わる。それゆえ、ビジョン・ミッション・バリューも”胎”というキャラクタを反映したものにすると、とても良いのだが。

 

”胎”のキャラクタとは、一言でいうと、自分流のやり方でナンバーワンを目指す、マイペースな自信家。ひとりで過ごす空間と時間を好むマイペース人間。他人の目を気にすることなく自分流の生き方を貫く。平凡や流行を嫌い、なにより「人と同じ」であることに居心地の悪さを感じる。甘えベタで、「人は人、自分は自分」がモットーの”胎”は、周囲からの干渉や詮索を嫌うため、最初はとっつきにくいクールな印象を与えるが、内面はシャイな人情家。上下関係の区別なく本音で話ができ、意見が言える裏表のない性格は、魅力であり強い武器。

 

そこで、freee(株)が明確化したビジョン・ミッション・バリューがどのようなものだったかというと、「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、統合型経営プラットフォームを開発・提供し、だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくっていく。起業やビジネスを育てていくことを、もっと魅力的で気軽な行為に。個人事業や中小企業などのスモールビジネスに携わるすべての人が、じぶんらしく自信をもって経営できるように。大胆にスピード感をもってアイデアを具現化できるスモールビジネスは、今までにない多様な価値観や生き方、新しいイノベーションを生み出す起爆剤だと考えている。スモールビジネスが大企業を刺激し、社会をさらにオモシロク、世の中全体をより良くする流れを後押ししていきたいと。

 

それゆえ、経営方針も、”個”を重視した成果主義のような要素を多分に取り入れると良いのだが、freeeは、放っておいても自発的に成果を出したいという人が多く集まっているため、余計なコミュニケーションコストをかけずとも、自然とマネジメントが出来てしまうという。成果主義要素も多分にあり、あまり無理難題を強要するような組織では無く、どちらかというとティール組織のような各チームが自ら考え、動くような組織を目指しているという。

 

方向性はズレているとは思わないが、いかんせん、いきなりティール組織のような組織形態を目指しても、上手く機能するのか疑問である。やはり順当に、衝動型⇒順応型⇒達成型⇒多元型⇒進化型(ティール組織)という組織の発達段階を踏んでいかねば、難しいとは思うが、成功する可能性も無くはない。今後、freeeがどのように進化していくのか、注目したい!