第4次元:業界という生命体の目標設定について①

先までは、第1~10次元における方向性について見てきた。今度は、具体的な目標設定にまで踏み込んでみたい。目標設定が出来れば、どうやって行動すれば良いか、メドが立つのであろうから。

 

なお、繰り返し記載するが、我々は1つの次元だけに意識を置いているようでは、上手く立ち回ることができない。常に4つも、5つも、多ければ10もの次元を同時に意識していくことで初めて、上手く立ち回ることが出来るのである。それゆえ、これから1つずつ、各次元での目標設定の立て方を記載していくので、実際にやってもらいたい。同時に意識していくことはとても難しいのだが、やっていくことで少しは慣れて出来るようになってくるのだから。今回は、第4次元:業界の目標設定について見ていきたい。

 

第4次元:業界の目標設定について

まず目指すべきは、業界という生命体の各部位を担っているのは自分である!と認識することから始まる。そう、当事者意識を持つと言うことだ。もちろん、自分は業界の理事でもないし、自分が業界の代表だ!と他の人にしゃべると、それは違うでしょ!と思われるかも知れない。それゆえ、頭の中で、自分は業界の代表だ!と意識するだけで良い。

 

当事者意識を持つと、今度は、業界という生命体の各部位の役割に注目する。各部位の役割を自分は担っているのだから、きちんとした仕事をしたい!と思うだろう。当事者意識があれば、そう思えるのだ。しかし、当事者意識がないと何をすれば良いですか?指示をください!と指示待ちになって、何一つ考えることを放棄してしまう。これでは何も進展しない。

 

それゆえ、業界という生命体を進展させるためにも、まずは各自が当事者意識を持つことから始まる。そうして、イメージしてみるのだ。自分が業界の身体の一部として右往左往しながら業界を支えているという感覚を。そうすると、興味が湧いてくるはずだ。例えば、人材業界の代表だ!としたとしよう。すると、人材業界はどうなっていて、主要サービスの動向はどうなっていて、今はどこに問題を抱えているのか、そんなことが気になるはずだ。それにも増して、人材業界はどうやって誕生したのか?そして、どこに向かって動いているのか?どんな力が作用しているのか?ということが気になるだろう。

 

・人材業界について 以下こちらより抜粋

一言で表すと、人材業界とは企業と人を繋ぐ業界である。どのようなビジネスであれ、人がいなければ成立しない。そのため、企業にとってビジネスを展開するために「人を採用する」ことは必須の業務であろう。しかし、自社で求人を募集したり、その中で自社に適した優秀な人材を採用したりなど、自社だけでこの業務を完遂するのは困難を極める。

 

一方で、働くことを求めている求職者にとっても、「仕事を探す」ことは難しいと言える。人は生きるため、稼ぐために求職者となり仕事を探すが、仕事内容や給与面など、自分に合った仕事を見つけることは簡単なことではない。このように、従業員を増やしたい、優秀な人材を採用したいという企業側のニーズと自分に合った仕事を見つけたいという求職者側のニーズが存在する。この2つのニーズを合致させることが人材業界の役割である。

 

人材業界とHR業界の違いは「軸の捉え方」である。人材業界は一人の人を人材と捉え、それを軸として関連するサービスが分類され1つの業界となっている。一方で、HR業界は企業の人事部を軸と捉え、人事を支援するサービスなどを行っている業界である。このように、人材業界は「一人の人」を、HR業界は「企業の人事部」をそれぞれ軸として捉えていることが違いとなる。

 

4分野のいずれかを手掛ける会社もあれば4分野全てを担う会社もある。リクルートグループやパソナグループ、パーソルホールディングスなどの大手企業は上記4分野を自社で手掛けている。

 

「人材サービス産業の近未来を考える会」の発表によると、人材サービス産業(求人広告事業、職業紹介事業、派遣事業、請負事業)の市場規模は、売上ベースで「約9兆円」と推定されている。「矢野経済研究所」の発表によると、2019年度の人材ビジネス3業界(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比4.5%増の「7兆128億円」となっている。その内訳は以下のとおりで、3業界すべてが市場拡大を実現している。

  • 人材派遣業市場:6兆6,800億円(前年度比 4.7%増)
  • 人材紹介業市場:3,080億円(前年度比 1.7%増)
  • 再就職支援業市場:248億円(前年度比 3.3%増)

参考:人材ビジネス市場に関する調査を実施(2020年)|矢野経済研究所

 

人材業界は基本的に、雇用が増えるほど(有効求人倍率が高くなるほど)活性化する。過去を振り返ってみると、バブル景気の時代は有効求人倍率が高水準を推移していたが、バブル崩壊によって「就職氷河期」と呼ばれる時代が訪れる。同様に、2009年のリーマンショックによる不況下でも採用数が減少し、就活市場は停滞した。「雇用は経済を映す鏡である」と言われるが、人材業界が景気の変動によって影響を受けやすいのは間違いない。

 

現在は、コロナの影響によって経済の見通しが不透明なことから、新たな採用を控える企業が増えている。しかしながら、すべての業界が採用に消極的なわけではなく、医療、介護、食品、物流、ITなどの業界では人材需要が拡大している。2021年の「オリンピック景気」が終わった後がどうなるのか、未だアフターコロナ時代が到来することが見通せない状況ではある。人材業界における需要がどのように推移していくかは、しばらく注視していく必要があるだろう。

 

 

・人材業界の課題

人材業界の課題は何処にあるのだろうか?そして、何処に向かうのか。それを突き詰めていきたい。まずは、人材業界のトップランナーであるパーソルホールティングスについて見てみたい。パーソルホールティングスは、人材業界の全てのジャンルをカバーしており、ありとあらゆるサービスを展開し、グループ従業員数は54,760人を抱える巨大なホールティングスを形成している。それゆえ、パーソルホールティングスこそが、人材業界そのものと捉えることもできるのだろう。

 

 

このような12部位の生命体モデルとして人材業界を捉えたとしよう。すると、脳の役割には事務系人材派遣事業が入り、人材業界を牽引する形になるのだろう。顔の役割には技術系人材派遣事業が入り、やはり派遣事業が人材業界を牽引しているというイメージなのであろう。市場規模を見ても、人材派遣事業が7兆円弱という圧倒的に大きな市場となっているのだから、当然なのであろう。

 

だが、この人材派遣事業に大きな課題があるのだ。それは何か?というと、人材派遣事業は、特別に許された隙間事業なのであり、極めて規制が厳しく、常に全労働者の4%以下ほどに押さえ込まれるように需給調整がかかる仕組みなのだ。下図:労働力調査 (基本集計)2019年(令和元年)11月分(速報)

 

なぜ、人材派遣事業は隙間事業なのか?以下、こちらより抜粋

労働者派遣事業とは?

労働者派遣事業

労働者派遣事業とは、自己(自社)の雇用する労働者を、自己(自社)の雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、他人のために労働に従事させることで、労働者を他人に雇用させることを約してするものを含まない。またこの労働者派遣事業のポイントは、事業にあたって厚労省の許可が必要な点にある。

労働者供給事業とは?

労働者供給とは、供給契約に基づいて、労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣に該当するものは含まれないことになっている。労働者派遣事業と労働者供給事業は混同されがちだが、労働者供給事業の大きな特徴は供給元と労働者間に支配関係があること、または供給先と労働者間に”雇用関係”があることだ。この労働者供給事業は、労働組合法の労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行う場合を除いては、全面的に禁止されている。労働者供給事業が全面的に許されるとすれば、供給元がその立場の違いを利用しピンハネするリスクがあり、労働者の利益が保護されないので、厚労省の許可を得た労働者派遣事業に該当する場合を除いては全面的に禁止されている。労働者供給事業と労働者派遣業は下の図のように考えると、イメージしやすい。

人材派遣と労働者供給事業の関係

 

因みに、労働者供給事業に類似したものとして、「在籍出向」というものがある。在籍出向とは、出向元との雇用関係を維持したまま出向契約を締結している別会社で労働者を勤務させることだが、この在籍出向は原則として無償または賃金相当額の支払いに留まる(出向元が利益を得ることは目的としてはいない)のに対して、労働者供給事業は供給元が「利益」を得ることを目的として行われる点で異なる。在籍出向に関連して、「偽装出向」という形態もある。これは派遣元の社員を派遣先に出向させ派遣元が利益を得ようとする形態のことで、「出向」という形式を採るが労働者派遣事業を潜脱するものとして法令違反となる。

 

つまり、人材派遣事業もピンハネする労働者供給事業と一緒に思われているからであろう。『手配師』というのは、不安定な生活の貧しい人間に仕事を斡旋して稼ぎの中から上前をはねる、江戸時代からあるヤクザ仕事、つまり今の派遣業の元となるものだという解釈が横行しているためであろう。しかし、人材派遣のニーズは産業構造上どうしても必須であり、無くてはならないものになっている。全て正社員にするのは不可能なので、やはり企業にとっては、正規と非正規は混在するほうが都合が良い。さらに、直接雇用するようなパートや契約社員では手間がかかるし、解雇もしにくい。それに比べて派遣社員は派遣契約を更新しなければ、終了できるというメリットがある。

 

よって、政府は4%を上回らない程度に、派遣労働者の需給調整をかけるのであり、企業側は、正規と非正規のバランスを考慮しつつ、最も都合の良いタイミングで、派遣労働者を雇うのであろう。労働者側は、やむを得ず派遣社員を選んでいるという人も一定数はいるものの、事情を抱えるからあえて派遣社員を選んでいるという人もいる。このような、様々な事情の下で、人材派遣事業は特別に許された隙間事業として、政府から許可制にて運用される特殊な事業なのである。

 

このような微妙な立ち位置にいる人材派遣事業が、人材業界を牽引していくというのだから、何か違和感があるのだ。特に人材派遣事業に関わる人は、渋々派遣社員を選んでいたり、派遣元企業側も、薄利多売で、数をこなせ!と命令するため、営業の質も保証されにくい。そのような人材派遣事業が他のHRソリューションや研修コンサルやシンクタンクなどの事業をも牽引していくというのだから、違和感があるのだ。この違和感は、人間の質なのか、波動レベルなのか、そもそもの背景がヤクザ仕事だからか、いずれにしても、大きな違和感となっている。ここが課題なのであろう。

 

 

いかがであろうか。これが当事者意識というものだ。人材業界という生命体の各部位を構成している各企業は、今、何をすれば良いのだろうか。何が出来るのだろうか?こう考えることで、何か、行動のヒントが見えてくるはずだ。それが結局は目標設定となり、行動指針に繋がっていくということだ。まずは、当事者意識をもって、問題を確認していくことから始まるのだ!