第6次元:日本国という生命体の目標設定について⑤

先までは、第1~10次元における方向性について見てきた。今度は、具体的な目標設定にまで踏み込んでみたい。目標設定が出来れば、どうやって行動すれば良いか、メドが立つのであろうから。

 

なお、繰り返し記載するが、我々は1つの次元だけに意識を置いているようでは、上手く立ち回ることができない。常に4つも、5つも、多ければ10もの次元を同時に意識していくことで初めて、上手く立ち回ることが出来るのである。それゆえ、これから1つずつ、各次元での目標設定の立て方を記載していくので、実際にやってもらいたい。同時に意識していくことはとても難しいのだが、やっていくことで少しは慣れて出来るようになってくるのだから。

 

今回も、第6次元:日本国の目標設定の続きを見ていきたい。先に、具体的な目標設定を行い、さらに小目標①を設定し、よりリアルにイメージできる目標を設定した。

・小目標①:どうやって家庭を大事にしつつ、女性の体力でも十分にやれる範囲で仕事を与え、なおかつ流動性を出すにはどうしたらいいのか?それには、日本国として移動時間を大幅に短縮する施策が有効であろう。一方、企業側には、組織をティール組織のような流動的な形態へ促し、仕事内容も、他の人がその技術者の代わりの役割を演じられるようなフォロー環境を構築してもらうことであろう。フォロー環境とは、イノベーションを10系統に分けて、技術分野が異なれど、同じ創発のプロセスをたどる系統どおし、補完関係が成立すると考え、代替人材を常に育成していくような環境だ。イノベーションには系統があると考え、その系統に沿ったプロセスにてイノベーションをしていくのであれば、他の技術者でも代替が出来うると考え、日頃から代替人材になれるような環境を構築していくことである。これが小目標①であった。

 

小目標①を設定するに際し、今までの流れをまとめると、下記のようになる。

 

このような12部位の生命体モデルとして日本国を捉えたとしよう。すると、東京都単独で脳の役割を担っているのが違和感はあるが、このモデルで安定した生命体として存在できそうだ。右足の役割は東北であったが、自分は右足の役割を担うぞ!と意識を高めて、何が出来るのかを考えていたとしよう。すると、震災からの復興で一気にスマートシティー化計画に則って、地域がIT化していくことで、日本国をIT化に導くぞ!と思うかもしれない。一方、自分は腸の役割である北陸の役割を担っているとした場合、昔から続く加賀藩の歴史を壊さず、地元密着の産業を独自に興していこうと思うかもしれない。しかし脳の役割である東京都は、世界経済の方向性から多大なる影響を受けて、その意のままに日本国を導こうとするのである。つまり、1%の支配者層の意のままに、コロナワクチンパスポートやテレワークの導入や種子法・種苗法の改正などを推し進めようとするのであろう。

 

このように、各部位を地域として捉えると、日本国という生命体は纏まりが無く、バラバラな方向性に向かうことになってしまうのであろう。そして東京都の一極集中となり、強大な権力のもと、他の地域は東京都の意のままに、否応なしに従っていくしか無いという構図になってしまう。これでは、決して生命体が躍動しない!問題は、東京都の一極集中で、何もかもが集まりすぎて強大な権力を持ちすぎていることなのであろうか。

 

成長のエンジンという意味では、東京に集積した知識集約型サービス業よりも、全国に分布する製造業が相対的に大きな寄与を果たしてきた。現在一部でみられる製造業の国内回帰の動きが大きな潮流となるかどうかは予想がつかないが、少なくとも当面は、地方の中枢的な都市における集積のコアとして製造業の役割に期待がかかる。ただし、人口減少社会のもとで、多くの地域が製造業に関して集積のメリットを追求することには限界がある。域外との知的交流を強化し、大きな集積があるのと同じような環境の実現を図ることが重要と思われる。

 

つまり、ハードは各地方の都市にある程度の集積をしていくような分散化させた環境を整備すること、そしてソフトは流動的に集積するような仕組みを作り、大きな集積があるのと同じような環境の実現を図ることなのであろう。祭りもそうだが、ある時期に一斉に人が集まり、同じ方向を向いてお互いに人と人が交流していき、多いに賑わい楽しむ。オリンピックも祭りの一つであろうが、ある時期に世界中から人が集まり、同じ方向を向いてお互いに人と人とが交流していき、多いに賑わい楽しむ。国際会議や学会などの発表会なども同様だろう。

 

このように、流動的に集合する機会をもっと増やすことで、人と人の交流機会を増加させることが重要なのであろう。それが東京都である場合でも、全国の地方都市から集まっては離散し、集まっては離散しを繰り返していけば、大きな集積があるのと同じような環境の実現を図ることができると言える。東京都だけでなく、全国の地方都市に同様に集まっては離散し、ということを繰り返すような組織形態に各企業がなっていけば、もっと人と人の交流機会が増えるということだ。そのためには、新幹線や航空や在来線などの費用が安くならねばならないし、便数を増やすなどの移動時間短縮などの利便性を向上させていかねばならないのであろう。特に、航空サービスに関しては、ほぼ47都道府県に空港は存在しているため、どの地方にも航空サービスにて行き来出来うるのだが、便数が少なく、移動時間短縮が大きな課題なのである。インフラは整っているが、実際の運用がままならない。特にコロナ禍で、各航空会社や空港関連サービス会社が、赤字に陥っている。このままでは倒産しかねないので、国としてなんとか支援していかねばならないのであろう。

 

どうしたら、各企業が日本全国の地方都市へ、そして東京へ、人を行き来してもらえるか?江戸時代は、参勤交代という制度があった。各藩の主である大名や交代寄合を交替で江戸に出仕させる制度である。この制度の目的は、諸大名に出費を強いて勢力を削ぐことにより謀反などを抑える効果、あるいは大名の後継ぎは制度上全員が江戸育ちとなることから、精神的に領地と結びつきにくくする効果があったともいわれるが、実際は、プライドと対面をかけた大名行列と成り果てていた。

 

参勤交代は常在戦場を表すため、旅装というより軍装であろう。人数は幕府の規定があり、1万石は騎馬3~4騎・足軽20人・人足30人、合計54人。10万石で騎馬10騎・足軽80人・人足140~150人、合計で240人。10万石でも280人程度の行列を仕立てるので、既に「御法度」。大藩は言うにや及ばずだが、大名行列は自家の示威行動でもあるのでプライドと対面にかけ、どうしても華美になってしまうからだ。そして大藩は前田家のように家老や重臣たちの石高も1万石以上だったりするため、その家臣や陪臣たちが全員それぞれ自分の行列を仕立てているので、更に人数が増える。「参勤交代=武家の行列の集合体」と言える。

①一般的な参勤交代の総人数:約150~300人(最少は僅か35~37人!)

②加賀の前田家、仙台の伊達家など大藩、御三家:約1000人~4000人

 

これは江戸時代の施策であったが、人と人の交流にはもってこいの施策であった。このような施策を用いれば、日本全国に、人、物、金が定期的に流れることになり、経済効果もとても大きなものになったのだ。では、現代ではこのようなことが出来るか?というとそれはもちろん難しい。徳川幕府に逆らうのが恐ろしいという恐怖政治による施策だからだ。現代はそのような恐怖政治は成立しない。現代はティール社会のような各自が自由に意見を述べるような社会だ。しかも技術分野が多岐に渡り、その技術レベルも極めて高く、到達するのに相当な時間を要する社会だ。各分野で技術者不足が顕著となり、このままでは技術が途絶えてしまうという分野も多くある。

 

これを解消するためにも、各企業が、技術者の代替要員を日頃から育成しようと思うかどうかにかかっている。技術者が不足したのなら、他の人がその技術者の代わりに役割を演じるポテンシャルは持ち合わせており、あとはその人をいかにフォローするかの周囲の環境次第なのであろう。フォローする環境とは、イノベーションを10系統に分けて、技術分野が異なれど、同じ創発のプロセスをたどる系統どおし、補完関係が成立すると考え、代替人材を常に育成していくような環境が重要なのかも知れない。つまり、技術者という意味で、ピンポイントでその技術を持っていなければもうダメ!としてしまうと、もはや人不足は永遠に解消されない。そうではなく、イノベーションには系統があると考え、その系統に沿ったプロセスにてイノベーションをしていくのであれば、他の技術者でも代替が出来うると考え、日頃から代替人材になれるような環境を構築していくことである。イノベーションの10系統について少し具体的に見てみよう。

 

以下、こちらより抜粋。『イノベーションの達人! 発想する会社をつくる10の人材』トム・ケリー&ジョナサン・リットマン著、早川書房

・人類学者とは
「人類学者」と呼ばれる人、言い換えると、「人類学者」の役割を担える人は、「問題を新しい枠組みでとらえること」に非常に長けている。同書では、マルセル・プルーストのこんな言葉を引用している。“発見という行為の真の意味は、新しい土地を見つけることにあるのではなく、新しい目でモノを見ることにある”
優れた発想・アイディアは、従来とは異なる視点や、既存の情報の新しい「組み合わせ」から生まれるという主張であろう。


人類学者の特徴として次の6つがある。

1.人類学者は禅の法則「初心」を実践している
2.人類学者は人間の行動を新鮮な驚きをもって受け入れる
3.人類学者は自分の直感に耳を傾けることによって推論を導き出す
4.人類学者は、「ヴィジャデ」を通じてひらめきを求める
5.人類学者はつねに「バグ・リスト」やアイディアの財布を身につけている
6.人類学者は手がかりを求めてゴミ箱さえもあさる。


4.の「ヴィジャデ」とは「デジャブ」のサカサマ語。「デジャブ」とは「既視感」と訳されるが、初めてきた場所なのに、どうも以前来たり見た覚えがしてしょうがないそんな感覚を言う。「ビィジャデ」はその反対だから、前に何度も見ているものをいま初めて見ているような感覚のことである。5.の「バグ・リスト」とは、世の中にある不満なこと、不便なことなどのことだ。一方、アイディアの財布には、革新的なコンセプト、そのコンセプトを実現するために解決すべき問題点が含まれている。人類学者はこうした「気づき」をしばしば丹念にメモしているのであろう。


結局のところ、人類学者とは、端的には「子供のような素直な観察眼と、あくなき好奇心を持っている人」と言えるだろう。単に現在を観察するだけでなく、そこから未来を見通すためには、「若者」を観察の対象とすべきであるという。「子供は次に何が起こるかを予測する手がかりを教えてくれる」と記載されている

とおり、既存の枠にとらわれず、古いものを壊して、新たな文化を生み出すのは常に若者ということだ。

 

 

・実験者とは

「実験者」は、人類学者が提示したアイディアのネタを具体的なものにする役割を果たす。ざっとスケッチを描いたり、発砲パネルをテープでつぎはぎしたり、急ごしらえのビデオを制作したりして、新しいサービスのコンセプトに「性格」と「形状」を与える。


実験者は、さまざまなアイディアやアプローチを試すのが大好きな人。大発明家のエジソンが典型的である。エジソンのこんな言葉が本書では引用されている。“私は失敗したことがない。一万通りのうまくいかない方法を発見しただけだ” 最近の発明家で大成功した人と言えば、サイクロン式の掃除機を開発したイギリスのジェーズ・ダイソン氏が思い浮かぶ。ダイソン氏は掃除機の最終的なデザインを決めるまで、5127種類のプロトタイプ(原型)をつくって失敗したそうだ。


どんなにすばらしいアイディアを思いついても、言葉だけでは、実際の形のイメージや面白さ、効用を伝えるのは難しいものだ。実験者にとって重要なのは、アイディアをできるだけ早く目に見える具体的なものにすることである。ここで、会社・組織としては、まだ不完全で未熟なプロトタイプを作り、提案することを許容する文化が求められる。最初から高い基準を持ち、完成度の高いものを求めてしまうと、みすぼらしい形だからという理由で、すばらしいアイディアが却下されてしまうからだ。同書では、コンサル先の会社のエグゼクティブに対して少しばかり「目を細めてみる」こと-つまり、表面上の細かい部分は無視

して、アイディアの全体像だけを見ることを推奨していると。


ところで、実験者は、モノづくりの部分だけでなく、広告の仕方、売り方などにおいても、既存のルールを破って新たな方法を試すことに果敢に挑戦する。広告の仕方について言えば、BMWのショートフィルムの事例が、本書で紹介されている。BMWブランディングのために、今までテレビコマーシャルを活用していたのを一切止め、8分間のドラマ「ザ・ハイヤー」を制作して、同社のWebサイトだけで公開した。この従来のルール破りのマーケティングは大きな話題を呼び、多くの消費者をBMWのサイトに呼び込んだだけでなく、2年連続で売上げを更新する具体成果につながった。


同書では、実験は次の大躍進に向かうための最良の方法のひとつであり、だから、いつまでもスタートラインに立ったまま、レースの行方をあれこれ思案しているのはやめよう。とにかく動き出していろいろなことを試してみればいい。そのうちにひょっとしたら勝つための新しい手段が見つかるかもしれないのだから、と私たちに提案している。

 

 

・花粉の運び手とは

「花粉の運び手」は、特に関連もなさそうな複数のアイディアやコンセプトを並列させることによって、新たに優れたものを生み出す能力を持っている。人類学者が観察を通じてアイディアのネタを発見するのが得意なのに対し、花粉の運び手は、情報の組み合わせやメタファーを駆使するのが得意なようだ。

 

例えば、花粉の運び手の功績のひとつとして同書で紹介されているものに、ピアノの鍵盤のアイディアを拝借して、初期の手動のタイプライターを開発した事例がある。ピアニストが鍵盤を指でたたくイメージから、文字通りタイプライターから今のPCに至る「キーボード」の原型が生まれと。これは「メタファー(比喩・置き換え」の力」と言える。こうして、ある物事をまったく別のところに持ち込むことで斬新なアイディアを生み出すさまを「他家受粉」と呼び、それを実行するのが「花粉の運び手」というわけである。


花粉の運び手は、強い好奇心と柔軟な頭脳の持ち主だ。本や雑誌やネット上の記事をむさぼり読んで、自分やチームが巷の話題に乗り遅れないようにするし、多方面に関心があって多彩な経験をするので、ひとつの経営課題からアイディアを拝借して思いもよらぬ別の状況に生かすのが上手だ。よりよい「花粉の運び手」になる最も効果的な方法は「さまざまな場所に足繁く通うこと」だと述べられている。「花粉の運び手」には、好奇心だけでなく行動力も必要のようだ。


では、組織の中で「花粉の運び手」を育てるためにはどうしたらいいのだろうか。同書では、IDEO社が持つ他家受粉のレシピにある7つの「隠し味」を紹介してくれている。

1.発表会をしよう。
2.さまざまな背景をもった人をたくさん雇おう。
3.議論が巻き起こるような空間をつくろう。
4.さまざまな地域のさまざまな文化を取り入れよう。
5.週に一度の「ノウハウ」講演会を主催しよう。
6.客人から学ぼう。
7.多様なプロジェクトを進めよう。

 

要するに、さまざまな異なる文化的背景や価値観を持つ人々を歓迎し、彼らが自由に議論できる環境をつくりだすということのようである。ここで、教育研修とはどのようなものなのかについて考えていきたい。花粉の運び手を育てるには上記のような”環境”を作り出すことである!と記載した。そう、環境つくりこそが、教育研修なのだ!ティール組織では、自らが足りないと思う部分を、他者に教えを請うのだ。そして自分の仕事が上手くいくように環境を整えるのも自分なのである。ここが従来の組織と大きく異なる点

であろう。自分で自分の環境を整えるというのだから、結構難しい。

 

では、どうやって環境を整えれば良いのだろうか?ここを知ることができれば、教育研修というものが理解できる。実は、人間は環境適応能力が極めて高いことが、一番の要素となるのだ。というのも役職を考えればわかりやすい。課長という役職を考えると、周りの従業員は課長という目でその人を見るし、何か

相談事があるときは、課長に相談するし、挨拶やクレーム対応などもするだろう。このような”期待”の目でその人を皆が、見ることこそが”環境”なのである。課長という環境が、その人を課長らしく育てるのである!わかるだろうか?役職が人を育てるのだ!

 

だから、従来の組織で管理職研修をやることになったとして、その管理職が、所属組織で管理職として見なされていないのであれば、どんなに良い研修をしても、所属部署に戻ったら研修の効果が現れず、すぐにいつも通りの頼りない人に成り下がるというわけだ。そうではないのだ。周りがその人を管理職として見なし、出来なくてもそのように接することが日々続けば、自然と管理職らしくなっていくのである。つまりは、環境に適応していくのである。これが人間が環境適応能力が高いと記載した背景である。

 

よって、ティール組織での教育研修とは、その人を研修するのではない!環境を作ることが教育研修となるのだ!その環境とは、周りがその人を見る目であり、その目を周りの皆が共通認識として持てるようにしていくことである。極論を言うと、その人以外の全員を集め、その人にチーム内でどのような動きをし

てもらいたいかをまとめて、期待値を共通認識することなのである。

 

その際に、本人の性格や方向性や能力を鑑みて、無理難題ではない妥当な期待値を設定することが重要である。そして、その共通認識された期待値を、後ほど本人に伝えるのである。そして、本人はそれを日々実践していくことで、出来ることと出来ないことがハッキリ見えてくる。その出来ないことが能力的な事ならば、調べたり、詳しい人に助言をもらったりしていく。その出来ないことが性格的な事ならば、同じような性格や方向性を持つ人に助言をもらったりしていく。

この二人をみると、レールが同じ木(陽)となっている。同じ方向性を持つ50代の女性どおしということで、同じような仕事の仕方をするのかもしれない。このような人に助言を求めると、良いかもしれず、ティール組織ではこのような助言を求める仕組みも用意されてるのである!

 

繰り返しだが、教育研修とは、その人本人を研修しても、あまり意味がない。そうではなく、関わる周りの人を研修するのである。その周りの人の期待値を共通認識として持たせることが重要であり、持たせることができれば、後は、本人がその期待値に向かって、進んでいける部分と進めない部分が見えてくるので、そこを修正していけば良いのだ。その期待値を目に見える形にする際に、10の人材像が有効なのである。このような仕事の仕方をしてほしい!例えば、花粉の運び手のように色んな現場を見てきて、アイデアが欲しい!などと具体的な形にしていくことが重要なのである。

 

 

いかがであろうか。こうやって、各企業が人材育成を活発に行い、日本全国に人の行き来をさせていくことで、域外との知的交流を強化し、大きな集積があるのと同じような環境の実現を図ることができる。人不足で困った、どうしたら良いか分からないと悩んでいても始まらない。進んで行動していくことこそが重要なのだ。