第10次元:太陽系という生命体の目標設定について③

先までは、第1~10次元における方向性について見てきた。今度は、具体的な目標設定にまで踏み込んでみたい。目標設定が出来れば、どうやって行動すれば良いか、メドが立つのであろうから。

 

なお、繰り返し記載するが、我々は1つの次元だけに意識を置いているようでは、上手く立ち回ることができない。常に4つも、5つも、多ければ10もの次元を同時に意識していくことで初めて、上手く立ち回ることが出来るのである。それゆえ、これから1つずつ、各次元での目標設定の立て方を記載していくので、実際にやってもらいたい。同時に意識していくことはとても難しいのだが、やっていくことで少しは慣れて出来るようになってくるのだから。

 

今回も、第10次元:太陽系の目標設定の続きを見ていきたい。先に、課題を見いだし、その課題を解決するための道しるべを見いだし、いかにして目標設定をするかということを記載した。

 

1つめの道しるべとして、木星の移動により重力場が変わり、木星の捕獲軌道から外れた小惑星群が地球に飛来する危険性についてだ。この危険性は常に付きまとい、地球だけでなく、水星や金星や火星にも衝突することで、太陽系全体のバランスが崩れ、今の安定した位置関係が崩れてしまうことが危機なのであろう。この危機に対して、研究チームを組み、常に小惑星群の動きをモニタリングしておく必要があり、必要ならば、意図的に軌道を変えられる技術も磨いていかねばならないのだろう。以下、こちらより抜粋

 

2013年にロシア中西部のチェリャビンスク州へ落下した隕石では、死者は出なかったものの、ドライブレコーダーなどに記録された画像が世界中へ拡散し、大きな衝撃を与えた。技術が進み、観測態勢が整ったことで、小惑星や彗星が意外なほどの脅威になっていることがわかってきたが、人類は絶滅した恐竜の二の舞になることを回避できるのだろうか。

 

米国のNASA(航空宇宙局)が中心となり、OSTP(科学技術政策局)やFEMA連邦緊急事態管理庁)などと一緒に3000万マイル(約4830Km)以内に地球へ接近する地球近傍天体(Near-Earth Objects、NEOs)に対する対応方針を発表した。同時に国連も下部組織のUNOOSA(United Nations Office for Outer Space Affairs、国際連合宇宙局)が同様のリリースを出し、米国だけではなく国際的な取り組みとして地球外からの小惑星や彗星の接近に対応する体制の整備が始められる。

このリリースによれば、国連とUNOOSAは、地球近傍天体による影響を分析し、衝突を防ぐために各国間の議論を深め、協力し合って対応するために努力するとある。すでに2014年にはUNOOSAの要請により、地球へ危険を及ぼす天体の早期発見をになうIAWN(International Asteroid Warning Network、国際小惑星警報ネットワーク)や発見されてからの対応を検討するSMPAG(Space Mission Planning Advisory Group、宇宙ミッション計画アドバイザリーグループ)が発足し、活動を始めている。米国のNASAもIAWNやSMPAGの構成機関の一つで、UNOOSAに対して地球近傍天体の情報を提供してきた。これまで確認された小惑星や彗星の数は、日々増え続けている。現在、数十万個の小惑星、数百個の短期軌道の彗星、数千個の長期軌道の彗星、数十個の流星群があり、小惑星の10%以上が衛星を従えていると考えられている。

 

これらの小惑星や彗星が地球へ衝突する危険のことをACH(The Asterod-Comet Impact Hazard)というが、もちろん地球が誕生して以降、この危険は大きく変化せず、今になってリスクが高くなってきているわけではない。だが、ここ30年ほどの研究調査の結果、地球上には直径数百mから数百kmまでの大小様々なクレーターが約200ほど発見されており、これらのクレーターは直径数十mから十数kmの小惑星や彗星が衝突した跡ということがわかった。風化などで小さなクレーターの痕跡が消えていることを考えれば、地球史で俯瞰する場合、ACHが起きる頻度は数十万〜数百万年に一度程度と見積もられる。

 

例えば、約3500万年前には、ユーラシア大陸東部(ロシア中部)と北米東海岸(米国バージニア州)に相次いで直径数kmの小惑星が衝突したことがわかった。これらの小惑星は、ユーラシア大陸に直径約100kmのポピガイ・クレーター(Popigai Crater)を、北米東海岸に直径約90kmのチェサピーク湾(Chesapeake Bay Crater)クレーターを作った。

地表に残る648の衝突の痕跡。丸のサイズはクレーターの直径を表す。Via:V K. Gusiakov, et al., "Epert Database on the Earth Impact Structures." The Asteroid-Comet Hazard Conference Proceedings, St. Petersburg, 2009

 

小惑星や彗星の衝突は、数万年後かもしれなければ数年後かもしれない。だが、これら天体の衝突のエネルギーは事実上、無制限と考えられている。恐竜を絶滅させた隕石衝突の例を見ても、その影響の大きさは地震や火山、台風といった地球上の変動や気候によるものと比べものにならないほど大きい。小惑星や彗星が地球へ衝突すれば、その衝撃によって周辺へ津波地震、火災などが広がり、塵や埃が大気中へ巻き上げられて太陽光線を遮る。大気循環を乱し、植物の光合成に影響を与え、食物連鎖に大きな影響を与えるだろう。

1994年に木星に衝突したシューメーカー・レヴィ第9彗星(Comet Shoemaker-Levy 9)の場合、地球外の惑星に彗星が衝突する様子が観測され、衝突後に木星にできたクレーターは直径約9000km(地球の直径1万2742km)に達した。この彗星の破壊エネルギーは、TNT火薬で105〜107メガトン(史上最大の水爆といわれるツァーリボンバの約2倍)だ。チェリャビンスク州に墜ちた隕石は、重さが約1.3万トン、直径は20メートル以下と考えられているが、その破壊エネルギーはTNT火薬で約500キロトン(原爆の数十倍)となる。この隕石がそれほど大きな被害を及ぼさなかった理由は、アニメ『君の名は。』のように大気中へ突入した際、いくつかに分裂したからだ。そのままの大きさで衝突すれば、さらに被害が広がった可能性がある。大きさが直径20m以下の隕石は、それほど大きな影響を与えないと考えられてきた。だが、チェリャビンスクの隕石の事例から、墜ちる地域によってこの程度の天体にも警戒が必要ということになっている。

協力して危険な小惑星や彗星を探査するゴールドストーン深宇宙通信施設(Goldstone Deep Space Communications Complex、GDSCC、米国カリフォルニア州、左)とアレシボ天文台(Arecibo Obserbatory、プエルトリコ、上)。

 

では、どうやって小惑星などの衝突を防ぐことができるのだろうか。ある研究者は衛星に核爆弾を打ち込むことを考え、ある研究者は小惑星を絡め取って軌道を変えるアイディを出している。だが、これらのアイディアや技術が実現可能かどうかはこれからの研究開発によるだろう。

直径が数百mの小惑星に対し、小型ロケットをぶつけて破壊するというアイディアの例。Via:A V. Zaitsev, et al., "The Level of Rapid Response Reaction of the Planetary Defense System." The Asteroid-Comet Hazard Conference Proceedings, St. Petersburg, 2009

タコの足のようなもので小惑星を包み込み、スイングさせて軌道を変えるというアイディアの例。Via:Z M. Ilitz, "Rotational Mass Driverr- an Efficient NEO Deflection Concept." The Asteroid-Comet Hazard Conference Proceedings, St. Petersburg, 2009

 

いろんなアイデアはある。とはいえ、今の技術では途方もない。どうしたら現実に近づけるのかを考えることこそ、目標設定なのであろう。NASAに任せていればよい、米国に任せていればよいと、傍観していてもなにも進歩しない。当事者意識をもって、我々日本人ができることはなんなのだろうか?それを考えていかねばならない。日本人研究者の事例として、九州工業大学の赤星教授のような事例もあるので参考にしたい。

 

小惑星衝突回避のためのアイデアと工学技術 こちらを参照

小惑星衝突回避の方法として、「ロケットエンジンを取り付けて軌道を変える」「近くに質量のあるものを並走させ、その引力で軌道を変える」「爆薬や核兵器で破壊する」などの方法が世界中で研究されている。その中で、秒速10kmの超高速で物体を小惑星にぶつけ、軌道を変更するアイデアが注目されている。これは、「はやぶさ2」に取り付けられた「インパクタ」という衝突装置を応用するものだ。インパクタは、直径2kgの銅の塊を小惑星にぶつけて表面にクレータを作り、物質を採取するために開発されたが、この装置を大型化すれば、小惑星の軌道を変更できると考えられる。現在は、ぶつける物体の大きさや形状、速度などによって、小惑星の軌道がどのように変化するのかという実験が行われている。

 

こういった研究に自社の技術者を参画させる、金銭面で支援するなどの方法があるのだろう。実際、それよって企業の利益が増えるということは無いのだが、太陽系という生命体の未来に関わる投資なのであり、行動なのであろう。無駄だと思えばそれまでだし、無駄ではなく、ぜひやらねばならない!と思えば、当事者意識がある人ということになるのだろう。ぶつける物体の大きさや形状、速度などによって、小惑星の軌道がどのように変化するのかという実験をしていくことは、十分な目標設定なのであり、それに対して、どのように行動していくのかを考えて行けばよい。

 

 

2つ目の道しるべとして、太陽の放射エネルギー増大による、地球環境の変化をいかに解決するかという問題だ。この結末から逃れる方法として、2つの選択肢を提案している研究者もいる。

1つは、近くを通過する小惑星の引力を利用して地球を危険圏内から外に出す方法。6000年おきに地球を軽くひと突きするだけで、少なくとも50億年は寿命を延ばすことができる。ただし計算ミスにより太陽とこの小惑星を激突させない限りの話だが。

 

そしてもう1つのより安全な方法は、太陽から逃れつつ、そのエネルギーを利用できるような距離を維持できる惑星間航行「救命ボート」を作ることだ。

 

2つとも今の技術では途方もない。しかし、目標設定としてはよいのかもしれない。どうしたら地球の軌道を少しでも変えられるか、ということを研究する目標設定とすればよいのだ。この目標に対して、我々がどのようなことができるのかを考えていけば、具体的な行動計画にまで落とし込めるという具合だ。

 

 

いかがであろうか。これで目標設定は出来た。具体的に、大きく2つの目標があり、それぞれに対する行動計画を立てていくことで、当事者になれるということだ。我々が太陽系という生命体に対して何ができるの?とはじめは全くピンとこずに、他人事のように想っていたのであろうが、実際に目標設定を行えば、具体的な行動がイメージ出来るようになるのだ。ここまでくれば、後はもう少し具体化していけば、行動計画ができあがる。次回、行動計画について記載していきたい。