第5次元:不動産という生命体の方向性

先に組織のバランスについて記載した。いかにバランス感覚が重要かが理解できたと思う。ぜひやってもらいたい。さらに、もう1つ組織のバランスで付け加えるとしたら、以前から記載している第1次元~第10次元までの視野をバランス良く持つことであろう。何せ、第1次元~第10次元までの生命体の維持・運営の仕組みを参考にすれば、第3次元:ティール組織という生命体の維持・運営の方法が全然違って見えてくるのだから!

 

ということで、今回は、第5次元:不動産という生命体について見ていくことにする。今回は、不動産という生命体が、今後どのような方向性に進んでいくのであろうか、それを見ていきたい。

 

地価暴落? こちらより抜粋。1970年前半までは、「市街化区域(都市化を勧める区域)」が定められたことで、都市化が進み、緑地が宅地(住宅用の土地)として売りに出されることが増えていた。これは農地についても例外ではなく、都市において緑地や農地の減少が加速していたわけである。しかし、市街化区域内でも、古くから農業を続ける人から「農地として維持したい」との要望や「市街地にも一定の緑地を保全すべき」という社会的な要請を受けて、1974年に「生産緑地法」が制定され、市街化区域内でも農林漁業の継続が可能となった。

 

さらに1991年には同法が改正され、「生産緑地」に指定された農地は建築物を建てるなどの営農以外の行為が制限されるようになった。その代わりに固定資産税が軽減され、また相続税の納税猶予が受けられるなどの優遇措置が取られようになった。だが一旦指定を受けてしまうと、生産緑地の所有者が亡くなる等の理由で農業を辞めるか、あるいは指定を受けた日から30年経過するまでは、買取りの申請や売りに出すことはできなくなる。つまり2022年で生産緑地法の改正から30年が経過し、固定資産税や相続税の優遇措置がなくなることで、生産緑地の指定が解除された農地の宅地化が進む可能性が非常に高いということだ。

 

生産緑地とは、
(1)良好な生活環境の確保に相当の効果があり、公共施設等の敷地に供する用地として適している
(2)500㎡以上の面積を有する
(3)農林業の継続が可能な条件を備えている
上記3つの要件を満たした市街化区域内の農地で、市町村から「生産緑地」と指定を受けた土地を言う。この生産緑地のほとんどは三大都市圏に集中しており、全国に約1万3,653㏊(2014年3月31日時点)ある生産緑地の約8割が、2022年に期限を迎えるとみられている。

 

生産緑地の指定から30年の間は、所有者が死亡し、また病気などで農業に従事できなくなった場合でしか、自治体の農業委員会に土地の買い取りを申し出ることができなかった。しかし30年が経過すると、申し出が可能となる。ただし、この買い取りは義務ではなく、特別な事情があれば自治体はその買い取りをしない旨の通知をすることもできる。実際、財政上の理由から自治体が生産緑地を買い取ることはほとんどない。その場合、自治体の斡旋によって買い手を探すことになるが、申し出から3ヶ月以内に生産緑地として買う人(つまり営農する人)が現れず、当該生産緑地の所有権の移転が行われなかったときは、この生産緑地指定は解除され所有者は届出のみで宅地に転用できるようになる。

 

もちろん、2022年に営農義務が外れても誰もがすぐに買い取りを申し出るとは限らず、引き続き農業を続ける者も少なからずいるはずだ。生産緑地のほとんどが一気に宅地へ転用されることはないとは言え、生産緑地の所有者の多くは高齢者と見られ、近い将来農業を継続できなくなるかもしれない。自治体による買取りはあまり期待できそうになく、そのまま生産緑地が解除されれば、固定資産税の軽減がなくなり、一気に税額は跳ね上がることになる。500㎡以上もの土地の固定資産税が宅地並みになれば、あまりに高額となるため、相続対策として、土地の売却やアパート建設などを検討するケースは年を追うごとに増えていくと予想されている。

 

2022年以降、売却などで一斉に生産緑地を手放す所有者が続出する可能性を、ハウスビルダーやマンションデベロッパーは大きなビジネスチャンスとして虎視眈々と狙っているのである。広大な土地が利益追及の不動産会社に売り渡されれば、当然のことながら供給過多となり、結果不動産価格や賃貸物件の賃料が大きく下落しかねない。

 

・国の対策は進んでいるのか?

国の対策は進んでいるのか? 生産緑地の宅地への転用を抑制するのであれば、2020年頃までには制度を整えて周知することが求められる。国や自治体も対策に乗り出し、2015年4月に都市農業振興基本法を制定した。これは、従来の市街化区域内農地における宅地化や転用促進の方針を転換し、都市農業を重要な産業として位置付けて、生産緑地制度の改正も視野に入れつつ、都市農地の保全を計画的に推進することを目的としている。

 

また、国土交通省は「市民農園等整備事業」で生産緑地の買取りを後押ししており、2016年度からは面積要件を緩和して、すべての生産緑地に対応できるようにした。ただ、生産緑地を優遇しすぎている現状にも問題があるという指摘もあり、今後の動向は不透明である。そこでカギを握るのが、自治体の構想力であろう。生産緑地としての用途は、公園や通学路への転換、家庭菜園事業など限定されるので、介護施設保育所、ショッピングモール等の運営企業に働きかけて用地賃貸を斡旋するなど、コンパクトシティなどの計画都市を含めた街づくり構想を実現していくリーダーシップが求められている。

 

2014年のデータによると、東京都だけでもドーム724個分の生産緑地がある。もちろんそのすべてが解除されることはなく、土地開発の際には道路用地も必要なので宅地の有効面積はもう少し小さくなるが、仮にこの土地に新築一戸建てが建築されれば、東京都だけでも25万戸以上が供給されることになる。賃貸アパートや賃貸マンションなど集合住宅であれば、賃貸物件の供給戸数も一気に増え、需給バランスを大きく歪めることになりかねない。しかし、実際は駅徒歩10分圏内にあるような生産緑地は少なく、本来はそのほとんどが収益物件としては適さない。 投資物件への過大な融資を問題視する金融庁が引き締めの方向へと舵を切ったこともあり、金融機関サイドも賃貸需要が見込めにくい場所への融資は控えるようになるはずだ。

 

・影響を受けるのは郊外の住宅

最も影響が大きいのは郊外の住宅

影響を受けるとすれば、すでに郊外にファミリー向けの住宅を所有している投資家やいずれ持ちたいと思っている人たちになる。ファミリーは車を持っていることが多いため、駅から離れても賃貸としての需要があるのだ。生産緑地の地主が跡地にファミリー向け賃貸アパートを建てれば、すでに賃貸物件を所有する人にとっては空室が増加し、賃料の下落圧力が高まるというリスクが想定される。同様に、一戸建てもファミリー向けの物件では駅徒歩〇〇分といった概念はあまり通用しないので、デベロッパーやハウスビルダーは広い土地を買い取って区画整理し、分譲戸建てとして売り出すだろう。


低廉な新築戸建てが乱立すれば、将来家を買いたい人は安く買える一方、すでに所有している人にとっては自宅の資産価値の下落が待ち受けている。戸建て賃貸をしている投資家にとっても、その物件は一般の戸建てより低コスト・ローグレードな仕様であることが多いため、魅力度で負けやすく直接的な競合になる恐れがある。ただ、投資家には自治体や業者の動きや地主の判断をコントロールすることはできないので、2022年以降の環境変化をしっかりと見守ることが肝心だろう。


すでに過剰状態にある戸建て市場に、さらなる供給がなされると、売れ残った新築戸建ての値下げ合戦が起こる可能性がある。「2022年問題」の影響をもっとも受けるのはファミリー向け物件と言われている。郊外にすでに持ち家を所有している人、投資物件として賃貸アパートや一戸建てを所有している人、将来的に戸建て住宅の購入を考えている人は、「2022年問題」のリスクをできるだけ回避し、大きなチャンスとして活かしたいものである。

 

 

いかがであろうか。不動産業界は、大きな方向性の転換が待ち受けている。「2022年問題」の後、本当に価格が暴落するのか?それとも、自治体がリーダーシップを発揮して取り纏めていくのか。ただ、気をつけて置かねばならないのが、自治体の構想力であろう。ある自治体は、コンパクトシティという名の下に、スマートシティー化計画を実行してくるかもしれない。一気に震災の後、東北地方がスマートシティー化計画が実行されていったように、他の自治体も、スマートシティー化計画を断行してくるかもしれない。

 

監視社会 VS 人間らしさ というキーワードで先に記事を記載したが、スマートシティー化計画は我々を超監視下に置くための施策であることを忘れないことだ。それゆえ、我々個人が出来ることは、農地を維持し、自治体のリーダーシップを歓迎すると言わないことなのかもしれない。一人一人がしっかりと認識し、土地を守り、農地を守り、未来を見据えていくことが大切な方向性なのかもしれない。