組織力をアップさせるには?③

先に、人間力をアップさせるということについて記載してきた。自分の波動レベルを上げ、多次元視野を持ち、相手の心を動かしていくことが、人間力をアップさせるということだと記載した。さらに、これをゆっくりやるのと、スピードアップしてやるのでは、世界がまるで違う。速いスピード下では、一瞬の判断ミスがもう命取りになる。そう、スピードが上がると、途端に世界が変わるのだった。それゆえ、いかに”姿勢”が大事なことか。”姿勢”が正しければ、力が抜け、意識や運気までをも意のままにできるのであった。

 

その”姿勢”が崩れる原因は、思考が入ってくるときだ。本能のままで、感覚に従って動いている時は、その”姿勢”は保ちやすいのだが、思考が入ると途端に崩れてくるのであった。それゆえ、雀鬼会では、2秒以内にツモ切りをするというルールで、思考を入れさせない工夫をしているのであった。思考を入れず、意識を360度の方向に張り巡らせることで、微妙な変化にも気づけるようになるのであった。これを組織にも当てはめるとどうなるか?を見ていこう。

 

■思考を入れない

組織での日々の業務は意思決定の連続だ。この意思決定を間違えると、後で取り返しのつかないことになることもあるので、慎重になる。しかし、この意思決定のスピードをゆっくりと時間をかけてしまうと、組織はとても重く、慎重な組織になってしまい、躍動感を失う。仮に、すべての意思決定を2秒以内の即答で行えば、その組織はとてつもないスピードで回り出すだろう。このようなスピードを出すには、もちろん意思決定のルールを明確にし、自分で判断できない場合はエスカレーションし、その上司も即答できなければエスカレーションしていくのだが、そのルールを明確にしておくことだろう。

 

例えば、あらゆる意思決定時間は「2秒以内」がルール!2秒以内に手から放す!としよう。結局は組織のスピードを決めているのは、トップのスピード感である。逆に、従業員にスピード感がない企業の場合、その原因はトップのスピード感不足にある。企業の倒産原因の一番は、「トップの先送り病」であろう。要は、意思決定のスピードが遅いのだ。

スピード感を上げるのに、相当有効なものに「2秒以内にYES・NO運動」と「会議終了後24時間以内に議事録配布&対策に着手」と「48時間ルール」なるものを設けたとしよう。具体的には下記のようにだ。

・「2秒以内にYES・NO運動」

例えば、個人宛の行事案内に対して「無反応」というケースだ。本来は、2秒以内に「出席」か「欠席」のどちらかの反応を示せばいいだけのことだが、この反応がないと発信者は何度もメールをすることになって、ここでも生産性が落ちてしまう。

・「会議終了後24時間以内に議事録配布&対策に着手」

会議が終わったら、即座に議事録が関係者に共有されるのが当たり前だ。遅くとも24時間以内であり、議事録に記されている対策への着手も24時間以内が原則であろう。

・「48時間ルール」

「受信後、48時間以内に反応がない場合は、発信者の一存で意思決定してよい。意思決定のプロセスで意見を言わないで、決まった後にブツブツ言うことを禁止する。」 この「48時間ルール」がないと、意思決定の遅い管理職のところで仕事が止まってしまう。テレワーク時代だと、もっとそれが顕著であろう。この「48時間ルール」は、まずトップ自らが実践しないと意味がない。その反応とは、「●日まで考えます」でもやむを得ない場合もある。とにかく意思決定することが何より重要なのだ。

 

 

・意思決定が遅い原因

日本企業の意思決定が遅いのは、リーダーがそこまで強い権限がないので取締役会や経営者のOBなどさまざまな人たちの意見に耳を傾けてすり合わせていくため意思決定が遅くなっている、そのような民主的なプロセスを重視しているからだというのは正直、違うのではないか。組織の意思決定のスピードと「民主的」うんぬんはあまり関係がない。強力なワンマン経営者が率いる企業であっても、「役所か?」と思ってしまうほど社内の調整や意思決定に時間がかかるケースがある。以下、こちらより抜粋。

 

企業の意思決定のスピードには何が影響を及ぼしているのか。結局は、「派閥争いの激しさ」によるところが大きいのではないかと思う。経営幹部の主導権争いはもちろん、誰が次の役員になるとかならないとかいう、社内の派閥争いが激しい組織は議論が紛糾して大事なことがスムーズに決められない傾向がある。これは互いに意見を激しくぶつけ合わせて時間がかかっているのではなく、社内の有力者の顔色をうかがったり、各派閥の面子や立場を配慮するなどの調整に膨大な時間がかかっているのだ。つまり、「日本企業は意思決定が遅い」という評価が国内外に定着してしまったのは、社内の主導権争いや勢力拡大という、いわゆる「社内政治」にのめり込んでいるような企業が、日本社会に極端に多いからではないのか。

 

パーソル総合研究所が19年9月に公表した、日本を含むアジア太平洋地域14の国・地域を対象とした就労実態調査によれば、日本の労働者は「勤務先への満足度」が対象国中で最下位。にもかかわらず、「転職したい」という回答も、「管理職になりたい」と回答も最下位だった。つまり、日本のサラリーマンというのはよその国のサラリーマンに比べて、ダントツに「現状維持志向」が強いのだ。

    「管理職になりたい」と答えた割合、日本は最下位(出典:パーソル総合研究所)

 

「社内政治」はどこの国にも存在しているので当然、日本企業のなかにも「社内政治」は存在している。しかし、一つだけよその国にはない日本独自の特色がある。それは、組織内で熾烈な足の引っ張り合いをしているプレイヤーの多くが「会社員であり続ける」ことを目標としているのだ。このような現状維持志向の強いプレイヤーが社内政治にのめりこめば、社内のいたるところで醜い足の引っ張り合いが勃発することは言うまでもない。それぞれが会社員としての立場だけは絶対に守りたいので、自分は安全地帯にいながらライバルのミスや粗相を攻撃する戦い方が主流になるからだ。

 

例えば、新しいチャレンジや改革に踏み切った人間が、ちょっとでもミスをしようものなら「だからオレは反対したんだ」と鬼の首をとったかのように吊るし上げる。また、リスクをとって何かを決断した人間を、なんのリスクも取らず、何ひとつ決めていない外野が「軽率だ」「先走りだ」とジャッジだけを下す。

 

そんな減点主義がまん延する日本企業で、意識決定が遅くなるのは容易に想像できよう。問題提起をしたり、何かを決めるべきだと意見を述べたりするだけで、誰かに足を引っ張られるので、立場のある人間ほど沈黙するし、決断を嫌がる。日本の会議がなかなか物事を決められないのは、日本人が議論好きだからではなく、会社員としての立場を守るため、「出る杭にならない」というガマン比べの場所になっているからなのだ。

 

では、そこで次に気になるのは、なぜこんなにも現状維持志向が強いのかということだ。まず大きいのは世界でもかなり異質な「終身雇用」という独特の労働文化だ。これによって「会社員生活=人生」という構図が定着してしまったので、みな生きていくために死に物狂いで会社員の立場を守ることが当たり前になった。社内政治で勝ち抜くことは、人生の勝者になることと同じだし、安定した老後にもつながる道なのだ。

 

そこに加えて、同族経営がある。国税庁の会社標本調査(2018年度)によれば、日本で活動中の会社の96.3%は同族企業で256万社にのぼる。資本金1億円超えの企業でも約半数は同族経営だし、中小企業でも9割を越えている。トヨタに入社して「オレは社長になる」と宣言をしても周囲がシラけたムードになるように、日本のサラリーマンは「血縁」「世襲」という、どうあがいても変えられない絶対的な秩序がある現実を受け入れながら働いている。つまり、日本のサラリーマンの勝負は、「現状」を変えていくことではなく、「現状」のなかでいかに楽しく、いかに快適に、定年退職までを過ごすかという勝負なのだ。

 

このような日本のサラリーマン独自の現状維持志向が、日本企業の意思決定の遅さに大きな影響を与えていると考えると、「日本企業は民主的」という認識はやはりちょっと違うのではないか。むしろ、現状維持を望む人たちが政治に明け暮れて、権益拡大を求めていく点では、旧ソ連のような共産主義的のほうが近い。民主的プロセスを重視しているので意思決定が遅くなる、という主張は、実は日本の政治家からもよく聞かれる。1年も経過したのに医療体制が整えられないコロナ対策はもちろん、選挙のたびに叫ばれる構造改革も遅々として進まず、国民から不満の声が上がっており、その言い訳に使われているのだ。

 

人口が右肩あがりで増えて、それにともなって経済も成長をしている時代までは、現状維持の企業と、現状維持の政治家が溢れていても、日本はハッピーだった。しかし、人口減少に転じたことで、その社会秩序はガラガラと崩れてきている。「日本企業は民主的だ」「意思決定が遅いのも悪いことばかりではない」など、とにかく日本を正当化したい気持ちは痛いほどよく分かるが、こうなってくるともうそんなに時間の猶予はない。そろそろこの国を衰退させている本質的な原因を直視すべきときではないか。

 

 

いかがであろうか。日本企業の悪しき文化である現状維持主義。この現状を打破するためには、ティール組織へ向かうということであろうが、その壁となるのが、スピードの遅さだ。スピードが遅い原因は上記のとおり、足の引っ張り合い、責任のなすりつけ合いという思考だ。だからこそ、その思考を入れさせないことが重要となる。思考させては、あらゆる物事が止まってしまう。『責任をとりたくない』、『あの人の顔を立てないと後が恐い』、などと忖度が働いてしまうのだ。これを意思決定2秒のスピードで行うと、思考が入らない。これこそが、現状を打破する方法なのであろうと思う。大企業ほど難しいし、ベンチャー企業ほどできうるのであろう。

 

経営者、従業員の皆に、「2秒以内にYES・NO運動」、「会議終了後24時間以内に議事録配布&対策に着手」、「48時間ルール」を課すことで、意思決定のスピードがあがる。しかし”姿勢”が正しくないと、ただ無茶苦茶な意思決定をするだけだ。先に記載したような流れるような基本動作、立ち振る舞い、意識の使い方という”姿勢”ができて初めて、2秒以内に意思決定が出来るようになるのだから。それゆえ、しっかりと”姿勢”を磨きつつ、意思決定のスピード2秒以内を目指していけば、組織は自ずと強くなっていくと言うことだ。