第5次元:産業界の産学連携を参考にする③

先に第5次元:産業界の産学連携について記載した。前回は、産学連携の中でも、基礎研究と応用研究について記載した。今回は、アイデアレベルの研究を統括し、吸い上げる仕組みについて記載したい。

 

ソニーもV字回復した企業の1つだ。ソニーがなぜV字回復できたのか?その秘密を見ていこう。以下、こちらより抜粋

 

ソニーの事業戦略部門は、1ヶ月で100人ほどの社員にヒアリングしたところ、「事業案はあるけれど、それをどこに持っていけばいいのかわからない」「これまでエンジニアひと筋だったので、事業全体を見る視点がない」「温めていたアイデアを他社に先にやられてしまった」などなど、 アイデアをアウトプットする場所や、事業立ち上げのノウハウがないという課題が出てきたという。「個人の能力だけに頼らずもっと多くの社員が新規事業のアイデアを提案できる仕組みを整えることができれば」「仕組みを整えシステマチックに個人の能力を育成する仕組みができれば」と考え、これがSSAPの誕生につながった。

 

新規事業は、今までにないアイデアなので話を聞くだけでは想像がつかないことが多い。そのため、誰もが理解できるように見える化が必要なんだという。自分のアイデアを紙資料としてプレゼンするだけでなく、第三者がイメージしやすいムービーを作ってもらったり、商品など形にできるものは3Dプリンターで再現するなど、見える化については事業アイデアを提案する人にちゃんと工夫するよう意識してもらっている。また、プレゼンだけではなく、アイデアがどのような過程を辿って実現に至ったのかなど、一連の過程も見える化している。

 

印象的だったのが、「toio」という製品だ。ソフトを変えることで工作、絵本、プログラミング、運転遊びなどが楽しめる子供向けのロボットトイなのだが、最初のプレゼン時は、社長含めた役員たちがどういうものか想像できなかった。この提案をしたのが社内のエンジニアだったのだが、みんなが理解できるよう3ヶ月で試作機を作ってもらった。そうしたら一瞬で全員が理解できて、「こういうことなのか!」と、試作機を見た役員たちも興奮していた。これはスゴい、面白い、と。

 

 

・基礎研究について

一方、基礎研究について見ていきたい。こちらより抜粋

これまでに培ってきた強みや生み出してきた成果を最大限に活かしていくため、国際頭脳循環や成果の横展開・高度化を更に推し進めていくことが重要なのであろう。その際に重要となるのが、研究支援人材の育成だ。

 

製造業に例えると、単一の工程しか関与できない「単能工」よりも、1人で複数の異なる作業や工程を遂行する技能を身につけた「多能工」は、多品種少量生産や品種・数量の変動に対応し柔軟な生産体制の維持や、生産性の向上に効率良く寄与することができる。研究プロジェクトの企画立案から成果の創出の各プロセスに寄与する研究支援人材についても、同様に「多能工化」による効率性の向上が期待できるというわけだ。

 

 

 

欧米は、ここの人材が豊富だ。日本国はここが劣っていると言えそうだ。では、多能工な研究支援人材の育成方法はどのような方法があるのだろうか。以下、こちらより抜粋

 

・研究活動の把握能力の養成

企業から等の研究支援者が大学での研究活動に関わるためには、大学独自の研究の文化の理解が必要である。さらに研究活動や産学官連携活動を支援する際は、大学内の研究者の研究ポリシーやスコープ等を理解することは必要不可欠で、その研究内容そのものに対してもある一定レベルの理解がなされていることが好ましいと考えられる。一方、研究そのものは仮に専門分野が異なっても、その論理構成は相似性があり、研究内容の理解は、多少の経験を積めばある程度の外形的な理解が可能だ。

 

・知的財産と契約リテラシーの養成

知的財産の機関帰属をおこない契約をベースにした産学連携活動を行っている大学にとっては、ある一定レベルの知的財産制度や契約に関するリテラシーが研究支援従事者には必要だ。こうしたリテラシーが欠如すると、知財管理や契約等の業務の主担当者との間にコミュニケーションの齟齬が発生し、そのこと自体が、産学官連携活動において障害になる可能性がある。

 

コンプライアンス・リスクマネジメント

研究支援者は、利益相反や研究者倫理等の大学でのコンプライアンスに関する基本的な事項を理解した上でその活動をおこなうことが必要だ。何故なら、URAや産学連携コーディネータといった職種の立場で、研究プロジェクトに関わるのであれば、ある程度、こうした問題に対処できるマネジメント能力が必要であることはあきらかだ。また、時間が経ることによって変化していく大学の研究活動の中で、どういった懸念が潜在的に存在するかすべてを把握することは大学側では困難であり、そこは研究支援や産学官連携といった教員の研究活動に関連する業務を担って、日常的に教員と接する機会のある、事務職員やURAとの連携協力が必須になる。

 

・ファンド申請に関わる業務遂行能力の向上

日本の科学技術政策に基づいて、JSTやNEDOと言った研究開発に関するファンディング事業の内容は定められている。こうしたファンドの申請に関与し“採択される”ためには、科学技術政策の方向性について十分な理解が必要である。またJSPS(日本学術振興会)の科学研究費やJSTやNEDO等のファンドメニューの性格の違いを把握することは、実際に研究者のファンド申請を支援する上で重要だ。こうした公募事業の理解を深めるともに、申請書作成の方法等のファンド申請のスキルについて、実際に申請に用いられていた課題申請書のブラッシュアップ等のトレーニングを通じて向上させていく。

 

 

イデアの吸い上げ

先のソニーの例のように、アイデアは文章だけでは見える化出来ない場合がある。そのような場合、実際に試作品を作成してみるということが有効だ。このような試作してみるということが、大手企業であれば、社内に施設や機器がそろっているので出来うるのであろう。しかし、中小企業ではそれが難しい場合が多い。

 

そのような場合、機器を有している機関に協力を仰いだり、知識を有する研究支援者の存在が欠かせないということだ。アイデアが具体的になっていく過程には、いくつもの紆余曲折がある。すぐに試してみたいという場合も多いが、機器が借りられない、設備が無い、などの理由で頓挫することも多い。その点、欧米は、多能工な研究支援者が豊富にいる。機器や設備も研究機関に揃っている。プロジェクトを具現化するためのチームを組んで、試作品の作成などを行うことは、比較的容易だ。

 

まずは、この研究支援者の育成が急務なのであろう。企業で労働しながら、主婦で家事をしながら、空き時間で研究支援者になるためのトレーニングを行うという人生も愛があって良いのではないだろうか。

 

そして、アイデアを発表する場、アイデアを吸い上げる仕組みも重要だ。昨今、SNSが主流となっているため、皆、SNSに投稿するのであろう。しかし、SNSは一過性だ。一方、研究開発は体系的だ。ここがミスマッチを起こしている。研究開発とは、1つのテーマをとっても、いくつものサブテーマに分かれていく。そのサブテーマもまた、幾つもの他の異分野とも融合したり分かれたりしていく。まるで生き物であるかのように複雑な体系をとるのだ。だから、一過性のSNSでは、吸い上げる仕組みとしては不十分だ。

 

一方、学会やプレゼンといった場は人数が少なすぎる。もっと多くの人や企業にプレゼンしたいにもかかわらず、数人・数百人では少なすぎるのだ。かといって、HPのような静的な場にアップして、さあ、見てください!とやっても、見に来る人はごく限られた数であろう。ここもミスマッチを起こしている。

 

だからこそ、アイデアを吸い上げる仕組みが必要だ。当方は、それはブロックチェーンベースのSNSであると思っている。苦しくも金融システムも、複雑になりすぎて管理しきれなくなっていた。そこで、量子コンピュータによるブロックチェーンベースの金融システムへと、もう間もなく移行する。研究開発も同様だと思う。

 

イデアは無数にある。それを統括していったり、次元上昇させたりするツールがないことが原因で、アイデアが消滅してしまっているのだ。それを拾い切るには、ブロックチェーンが今後、活躍するのであろうと考える。ブロックチェーンSNSにより、一過性ではなく、履歴が参照でき、カテゴリーも分けることができ、金銭支援や労働力支援も行える仕組みは、研究開発を加速させていくのであろう。それを当方は、”ゆらぎシステム”と呼んでいるが、”ゆらぎ”を消滅させない仕組みなのだ。

 

ありとあらゆる人が関与し、研究開発(ゆらぎ)を支援していく体制こそが、産業を再活性化するツールになると考えている。労働人口約6000万人がすべて研究者・研究支援者であれば、相当の研究が出来うるだろう。人は必ずどんな分野だろうが、何か1つや2つは没頭できるほどの分野があるだろう。その分野に研究者として参入していくのか、研究支援者として補助していくのか、いずれにしても、会社での労働時間以外の時間を使って、行っていくような社会風土になれば、日本国の産業は再活性化するのであろうと思う。