第5次元:産業界の”産学連携”について

先に、第5次元:産業界という生命体について記載してきた。今回も引き続き見ていきたい。今回は、産学連携についてだ。

 

中小企業から大学へ講師派遣 近畿経産局がマッチング開始

 人手不足にあえぐ中小企業と就職を目指す学生を結びつけようと、近畿経済産業局がインターネット上に「マッチングプラットフォーム」を立ち上げた。大学などの講義に中小企業が社長や社員らを講師として派遣し、自社のアピールに役立てる仕組みだ。同局は「全国のモデルケースにしたい」と意気込んでいる。

 

 自社を売り込みたい中小企業が、講師となる経営者や従業員の経歴、講義できる内容などを登録すると、情報がホームページにリスト化される。大学や短大、高専が講師派遣を申し込み、条件が合えば派遣される仕組みだ。登録できるのは、福井県を含む近畿経産局管内2府5県で、成長性の高さなどから経済産業省の表彰や認定を受けた中小企業のみ。学生にとって、経産省のお墨付きがある企業から経営戦略や業界事情など生の話を聞けるメリットがある。

 

 こうした取り組みの背景には、企業の慢性的な人手不足がある。企業にとっては厳しい求人難が続いており、近畿経産局の担当者は「人手が足りている企業の方がめずらしい」と話す。学生も、有望な中小企業に関心を寄せている。同局が大学生らに実施した調査では、8割以上が就職先の対象になると回答。「大手企業に就職することが絶対の正解ではないと思った」などの声があった。一方で「どこで情報を入手できるか分からない」「働く人の話を聞く機会がなく、イメージがわかない」との不安も寄せられたという。

 

 

そう、様々な産業があるのが実態なのだが、その実態を知るのは、会社に入ってからだ。こんなことをやっているのか!と驚くようなことが、入社後に分かる。だから、人が来ないのだ。何せ、世の中に認知されているメジャーな産業は、どんどん人が来るが、マイナーな産業は万年人不足が続く。それは、PRする機会が著しく少ないからだ。ならば、PRする機会を増やしていくしかないのだ。その1つに産学連携がある。以下、こちらより抜粋

 

下図は、現在の業務で必要とする分野と大学で学んだ分野との比較である。

 

まず、機械工学、ハード・ソフト、プログラム、会計・簿記、マーケティング等では、企業のニーズが高い。現状では、大学で学ぶ割合とのギャップが広がっている。社会のニーズと大学側のカリキュラムの割合が合致していないということだ。

 

このように、時代によって、産業構造が変わっていくのだが、その都度、大学側も社会のニーズに合わせて、カリキュラムの割合を変えていくような仕組みであれば問題ないのだが、現実はそうなっていない。これは、教授の問題もある。大学側が研究しているテーマと、社会が求めているテーマが必ずしも合致していないということもあるのだろう。特にズレが大きいのが、政治学、経済学、文学の3分野だ。大学側は古典的な学問として追求しているが、社会ではそのような古典的なニーズは少ない。

 

かといって、社会にすべてを合わせているようでは、古典的な文学などの分野は、消滅してしまう。それでは困るのだ。人間の精神の基礎となる文学が無くなっては困るのだ。社会にニーズが無いからと言って、大学のカリキュラムから無くしてしまうのは、問題だ。とはいえ、社会ニーズとかけ離れていてもダメなので、どこか妥協点を探るしかないのであろうか。

 

 

もう少し詳しく見てみる。技術系の学生に絞ってみてみたのが下図だ。

技術系の中でも、機械工学とプログラム系が突出して高い。地球温暖化、水処理、環境社会学炭素繊維、エネルギー技術など、重要な分野にも関わらず、大学側のカリキュラムがあまり組み込まれていない様子がわかる。これでは、技術者不足だ!と企業が言うのも、無理は無いのだろう。何せ、大学側のカリキュラムであまりやらないので、学生も、地球温暖化、水処理、環境社会学炭素繊維、エネルギー技術などを知る機会も少ないということだ。

 

人間の心理上、知らないことに興味が湧かないのだ。知ることで興味が湧く。これは人間関係でも同じだろう。嫌いな人には全く興味が無い。だから益々嫌いになる。しかし、ある時、突然に嫌いな人の意外な一面を知って、少しは見直した!という経験は多々あるだろう。それには、知る!ということが先に来る。背景などを知ったことにより、急に興味が湧いたりするのだ。だから、興味が無いというのは、あまりよく知らない状況ということの裏返しということだ。

 

では、学生などに、地球温暖化、水処理、環境社会学炭素繊維、エネルギー技術などを知ってもらうのには、どうすれば良いのだろうか?

 

上図は、1万社の企業に、産学連携の実態調査をした際の回答だ。現状では、1週間程度のインターンシップ受入がもっとも多く38%程度だ。次いで共同研究が30%程度。そして、1日程度のセミナー、講師派遣、寄附講座、中長期インターンシップ受入、教材提供とつづく。

 

これが現状だが、ここでも企業側のニーズと学生のニーズがミスマッチを起こしている様子がわかる。1週間程度のインターンシップ受入が最も多いと言うが、それは企業側の都合だ。つべこべ言わず、業務を見て、やって、それから判断して!というので、1週間程度のインターンシップが設けられている。あわゆくば、そのまま採用まで持って行きたいと企業側は狙っている。中小企業にとっては、このインターンシップでもなければ、通常の就職活動時には選ばれないと思っているから、必死でインターンシップの門戸を開こうと努力するのだろう。

 

学生側の都合で言うと、なるべく多くの企業を見たい。自分に合う企業を探したいということだ。そのためには、良く分からずにインターンシップに1週間も行くというのは、よほど視野が狭いか、何も考えてないか、どちらかであろう。学生はとにかく、いろんな可能性を知りたいのだ。世の中にはどんな企業があり、どんなことをしており、どんな社会貢献ができ、どんな苦労もあるのか、などの生の情報が欲しいのだ。しかし、学校で得られるのは古典的な情報ばかりだ。

 

だからこそ、冒頭に記載したように、大学のカリキュラムに多くの企業が登壇することは、とても価値のあることなのだ。新しい試み!と近畿経済産業局が言うのもわかる。学生に企業の生の声を知ってもらうことそこが、興味を持ってもらうきっかけになるのだ。

 

苦しくも、大学も法人化し、経営意識を持って改革していくことを迫られるようになってきている。今までのように、古典的な学問を教えているだけでは、社会のニーズと乖離していくだけだ。もっと、ニッチな企業の生の声などをカリキュラムにどんどん取り入れて、魅力有るカリキュラムにし、学生に新たな意識を気づかせることが重要なのであろう。

 

また、企業側も意識改革が求められる。広告を出して求職者を待つだけ、インターンシップを受け入れて求職者を待つだけ、というような待つだけのスタイルでは人は来ない。そうではなく、もっと大学や専門学校、職業訓練校、寺小屋など、ありとあらゆる学びの場に、自社の取り組みや技術力をPRしていかねばならないのだろう。そう、待っていてはダメなのだ。外に出て行くことで知ってもらうことこそが重要なのだ。知ってもらって初めて、人間は興味を持つ。あとは、興味を持てば、自らネットで調べ、ものすごい速さで勉強し、詳しくなった状態でエントリーしてくるのだ。このような学生の方は、即戦力になり得る。何せ、やる気に満ちあふれているのだから!

 

 

いかがであろうか。いかに企業側も学校側も、従来の古典的な手法に頼っていたかが分かるだろう。もはや時代も流れ、動きも速い。もっと動きを活発に行動していかねば、何も始まらない。待っているだけでは、何も解決しないのだ。動いていれば、営業活動と一緒で、必ずや行動量に比例して結果は出るのだ!学校や職業訓練校や寺小屋など、あらゆる学びの場に、どんどん出ていくことが、地道な活動と言えるのであろう。第5次元:産業界という次元での視点が、第3次元:会社という次元での行動に大いに参考になったということだろう。